私は変わりたかった。変わりたい理由が出来た。出来てしまった。

 2019年12月4日に“vivid undress”が1stアルバム『混在ニューウェーブ』をリリースし、徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビュー!今作は【生まれも育ちも音楽のルーツも全く違うメンバーが集まり、新たな波を作っていく】という意味が込められた、全員が楽曲制作できるからこその多彩な才能が詰まった内容となっております。

 さて、そんな注目のアルバムをリリースしたvivid undressの作詞を手がけている、ボーカル・kiilaがスペシャル歌詞エッセイを執筆!今日のうたコラムで、3週に渡りお届けしてまいります。まず第1弾で綴っていただいたのは、今作の4曲目に収録されている「出会えたんだ」にまつわるお話。是非、歌詞と併せてこの曲に込められた想いを受け取ってください。

~第1回歌詞エッセイ:「出会い」とは~

しょうもない人生だった。毎日が退屈で憂鬱だった。子供の頃から「なんか面白いことないかなぁ~。」が口癖だった。普通じゃ満足できなくて、常に刺激を求めていた。自分が生きているということが何の役にも立たないことに日々罪悪感を感じていた。成績もそこそこ。飛び抜けた才能もない。親が自慢できるようないい子じゃない。私なんて果たして生きている意味はあるのだろうか。そんなことばかり考えていた。

私は大人になり、バンドを始めることになった。自分の生きてきた証を、葛藤を、悲しみを、恥を晒すかのように内情を歌詞に綴り、ライブではステージの上で何度も泣いた。がむしゃらに感情的に歌って生きてきたここ数年。歌は私にたくさんの出会いをもたらしてくれた。飽き性で何をしても続かない私が、唯一ずっと続けている歌で、人見知りで引っ込み思案だった私が、誰かの心に触れることが出来た。

(…本当に色んな人に出会ったなぁ。)

人と関わると傷つくことの方が多い。だったら一人でいた方がいい。誰にも傷つけられずに済むから。そう思って人と関わることを避け続けてきた。それなのに、物事にぶつかる原因は必ず人間関係だった。私が躓くポイントがいつも同じで、これは環境やその人が悪いのではなく、「私が変わらないといけなかったんだ。人と深く関わっていかなければ一生前に進めないんだ…」そう思った。

私は変わりたかった。変わりたい理由が出来た。出来てしまった。前に進みたかった。どうしても行きたい場所があった。連れて行きたい人たちがいた。だから自分の悪いところとたくさん向き合った。向き合うのはすごく怖かった。何度も死にたくなった。私は何者でもないと改めて認識すると、本当に生きている意味を失くしてしまいそうだったから。

それでも変わらなければ越えられない壁が確かにあった。何が何でも進みたかった。何度打ちのめされても自分の悪いところを探して向き合った。負けそうになった時に助けてくれるのは人だった。人は人に傷つけられて、人に助けられている。周りの人に影響されて、周りの人が導いてくれる。私は人と出会うことでここまで歩いてきたんだと日々思い知らされる。

出会い、とは。決していい出会いばかりではないかもしれない。でも、自分にとって最悪な経験も、この日のためにあったのかもしれない。そう思える日が必ず訪れる。…いや、訪れるのではなく、そこに向かって歩いていかなくてはいけない。ぼ~っと突っ立っていたって生物の私たちは朽ち果てていくだけなんだ。

人は、望まなくてもいつか死んでしまう。どんなに辛いことや苦しいことがあっても、いつか必ず全てを亡くす時が来てしまう。その時が来るまでに

“君に出会うために ここまで歩いてきた”

そうやって今まで生きてきたこと全てを肯定するような奇跡の出会いを果たして、それを守り抜きたい。たった一度きりの人生。一度くらい夢中になるくらい生きたっていいと思うの。

<kiila / vivid undress>

◆紹介曲「出会えたんだ
作詞:kiila
作曲:kiila

◆major1st album『混在ニューウェーブ』
2019年12月4日発売
TKCA-74820 ¥2,182+税

<収録曲>
1. ラストスタート
2. グリーン・ステップ・グリーン
3. コンキスタドールの現実闘争
4. 出会えたんだ
5. HOT
6. アブラカタブラ
7. チョコレートシンドローム
8. another world
9. 例えばもしも私が今死んだとしても
10. まるで夜