映画『絶叫学級』に、ヒロイン・加奈(川口春奈)の親友・絵莉花役で出演されている松岡茉優さん、主題歌「Don't Cry」を書き下ろされた新山詩織さん。まず、松岡さんはご出演にあたって、この作品をどう捉えましたか?
松岡:私は、ホラーはあまり得意分野ではなかったんですね。ただ、台本を読んで、幽霊が出て来たりして怖い部分ももちろんあるんですけど、何より、人間の心がすごく繊細に描かれていると感じて。その部分をしっかり届けられる映画にしたいな、と思いました。
新山:自分もやっぱり、ホラーというよりも、人間関係のほうが大きく描かれていると思いました。「Don't Cry」は、元々「ベストフレンド」というタイトルの曲が元になっているんですけど、映画のお話をいただいて、台本と、完成前の映像を観た時に、"ささいなひと言で状況が一変しちゃう時ってあるんじゃないかな?"と思って。それをキーワードにして歌詞を書きました。映画のための書き下ろしではあったけど、自分の今の学校生活と似ている部分もあったので、書く時の心境はいつもとあまり変わりませんでしたね。
緊迫したシーンが多かったですが、撮影現場のムードはどうでしたか?
松岡:いじめられるシーンはその前から口を利かないし、笑い合った記憶がないですね。ガスバーナーを顔に近付けられるシーンでは本当に火を出していたので、「やけどするかもなあ」と思ってました。あの時はもう、意識朦朧でしたね。
新山:顔に足を乗っけられるシーンには、どんな気持ちで臨んでいたんですか?
松岡:あのシーンでは、美術の方にこっそり「裏にガムテープを貼って下さい」とお願いしたんですよ。潔癖症なので、菌類は避けました(笑)。
絵莉花は、"自分"をしっかりと持った女の子。共感する部分もあったのでは?
松岡:私はお芝居が好きでこの職業をさせていただいていて、その気持ちの代わりに、絵莉花ちゃんの「絵が好き」「加奈が好き」という気持ちを入れて、ずーっと意識しながら演じていましたね。私、「お芝居がなかったらどうなるんだろう?」と考えると悲しくなるんですよ。何も残らないなって。新山さんはどうですか?
新山:自分もたまに、「中学の時、軽音楽部にもし入ってなかったら、どうなってたかな?」と考えることがあります。入って、全てがまるで決まっていたかのように、自然に音楽を好きになって。それで、今も自然に好きで続けて来ているから、今一気に音楽がなくなったら自分がどんな人になるのか、想像がつかないです。
松岡:実は私、先一昨年ギターを買ったんですよ。文化祭で観た軽音楽部がカッコ良かったのがきっかけなんですけど、今はホコリを被って、かわいそうなことになっています(笑)。コードが全然弾けなくて…最初ってそんなもんですか?
新山:最初はまったく押さえられないですね。自分もたぶん、手がちっちゃいほうで…。
松岡:たしかに、ちっちゃいですね!
新山:だけど、まずは一番簡単に押さえられるコードを練習して。最初は音がカスカスで、だから、とにかくもうひたすら弾いて。弦が硬くて痛くて「無理だ、もう嫌だ!」と思ったんですけど、続けてやっていました。たぶん、すごく好きだったからだと思います。
映画の中で新山さんのデビュー曲「ゆれるユレル」も流れますが、心の叫びのような歌詞がシーンにぴったりと合っていますね。
新山:自分自身が嫌で嫌で仕方なかった中学の時に、「変わりたいけど何も変われない」とずっと思っていて。高校に入ってから歌詞を書く時に、「あの時思ってたこと、誰にも言えなかったことをもう、全部書いちゃおう」と思って、サビの<変わりたいよ 変われない>というところから書いて行った曲ですね。
松岡:中学の時は私も、学校ではすごく「自分が面倒」な毎日を過ごしてました。だから、学生の時に新山さんの歌に出会っていたら、リピートばかりしてたんじゃないかな?って。『絶叫学級』は、原作が中学生の女の子に大人気ということなので、新山さんの曲をそんな子たちに聴いてもらえるのが、すごく素敵なことだと思うんですね。最後に流れる「Don't Cry」も、歌がすごく爽やかで優しいので、ありがたかったです。この映画は、クライマックスにあまり救いがないかと思うんですけど、落ちたまま終わらないで済むんですよね。
新山:そんな風に言ってもらって、ありがとうございます。この映画には、大人には見えない世界がたくさん描かれていると思うんです。生徒だけの中での人間関係の真実と、先生たちが見ている生徒の関係とは全く違うと思うので、大人にも何か届けばいいなと思いますし、年齢を問わず観てもらえるとうれしいです。
最後に少し趣味の話もお訊きしたいんですが、お二人とも漫画がお好きだとか。
松岡:本当ですか!? 共通項ですね! 漫画、大好きです。
新山:何漫画が好きですか?
松岡:私は少年漫画です。
新山:あ、私は少女漫画です。一時期漫画家を目指していた時もあったので、漫画はかなり好きです。最初は『りぼん』から入りました。
松岡:ちょうど『絶叫学級』が載っていますよね。妹が少女漫画好きで、ある日部屋のドアを開けたら『絶叫学級』が全巻積まれていたことがあって。「『映画に出演する前に読め!』という、妹からの圧力だな」と思って、読みました(笑)。
ふだん漫画を読むのは仕事の合間などですか?
松岡:私は漫画を愛しているので、しっかりと時間を割いて、完璧な空間を作って真剣に読みたいんですよね。
新山:自分も部屋で読むことが多くて、たまに布団に寝転がりながら読んでいます。
松岡:心の余白として既にキャパオーバーなんですけど、新しく1巻買うと全巻集めちゃうし、どうしようもないですね。今一番欲しい物は、図書カードです(笑)。
新山:この前、千円分の図書カードが財布から見つかったんです。
松岡:「あ、ラッキー!」みたいな? 分かります(笑)。
新山:だから、「何か買わないと」って今思っています。
そんな共通項で盛り上がったところで、対談終了です。ありがとうございました!
松岡・新山:ありがとうございました!