Q)最新シングルの「桜ナイトフィーバー」は、相変わらず、全てが緻密に計算されていて「すごくよく出来ているなぁ〜」と感心しました。楽しくも説得力のある言葉と、それが自然に聴こえてくるメロディとアレンジです。巷で多く見られる、いわゆる「桜ソング」は沢山ありますが、これは全く違っていて、「花見で盛り上がる曲」かと思いきや、「花見をされる桜の気持ち」になって書かれたたシニカルな歌詞です。どうして「桜の気持ち」になったのですか?
えっと〜、桜に限らずなんですけど〜、そもそも「ライトアップ」とかが昔から嫌いで…(笑)、前から「おかしいだろ…それ…」っていう感じがしてたんです。あと、10年くらい前までは、日本の若い人の盛り上がりは、クリスマスだったと思うんですけど、それが桜に移行してきたような気がするんですよね…。

Q)「クリスマスの盛り上がり」が、「桜の盛り上がり」に変わっていったと…?
クリスマスは、直後にお正月があることもあって「すぐ撤収!」ってなるから、なんかクリスマスに飽きちゃった流れが、みんな桜に来ているような、なんかそんな気がするんですよね。それが、すごく軽薄な気がして「やだな…」ってここ数年ずっと思ってて…、毎年「桜なんとか」って曲が出ることも含めてですね。なんかそういう軽薄なフィーバーがいやだなって感じていたのはありましたね。

Q)なるほど。それで、今回、桜の季節に、この「桜ナイトフィーバー」を出されたのですね?
えっと〜、実は、去年のバンドツアーの時、「未発表曲をライブのピークに持ってくる」っていう構成にしたんですよ(笑)。知らない曲で一番盛り上がんなきゃいけないっていうようにね…(笑)。それで、新曲を2曲やったんですけど、1曲は「scene」ていう曲をやって、もう1曲を、結果的には「桜ナイトフィーバー」にしたんですけど、実は、別にもう1曲、ちゃんとかっこいいロックの曲があって、それをリハでやってみたんですけど、なにしろ、「ライブのピークで未発表曲」なんで、1回聴くだけじゃないですか。その曲は、「1回聴くだけで盛り上がるには、ちょっと難しい曲だな…」って思ったんです。だから、もっとわかりやすく盛り上がれるヤツを作ろうと思って、その時、たまたま「♪さくら フィーバーフィーバー…」っていうのを思いついて、メロディにうまく乗ったので、「じゃあ、そのテーマで作ろう」と思って作ったんですね。

Q)それ以前から、もう既に、このメロディは出来ていたのですか…?
なかったんです。だから、そのツアーのリハの期間に作ったんです。僕にはすごい珍しく、2週間くらいで作った曲です。まあ、でも、歌うテーマは、昔から漠然とはありましたから。テーマがある場合は、そんなに時間はかからないんです。

Q)じゃあ、去年の2月には出来ていた曲なんですね…?
はい。でも、その時は、リハの最中に作って、そのままライブでやったんで、デモもない状態で、いわゆるコード譜だけで、バンドでやりながら作ったっていう感じでしたね。もちろん、キーボードとかの「具体的な見えるフレーズ」は譜面に書きましたけど。だから、今回、このシングルに関しては、イチから作りました。基本的な曲の印象は変わんないと思いますけど、アレンジは、根本の考え方が違う作り方してるんですけどね。

Q)その時から、80年代風のディスコサウンドだったんですか?
はい、そうです。まあ、弦はちょっと70年代っぽいかもしれないですけど。こういう明るいディスコはすごく好きなんで…、って言っても、そんなに数は作ってないですけどね…。

Q)とくに、パリから帰って来られてからの2枚のアルバムに入っている全ての曲にも言えることなんですけど、メロディの動きがトリッキーで、コード進行も複雑で、全体のアレンジも緻密に計算されて作られている感じがしますが、でも、パッと聴いた時に、とてもポップで、すごくシンプルに聴こえるところが、すごいと感じています。そこが、KANさんのすごいところで、「KANマジック」だと思っているんですが、「桜ナイトフィーバー」も、まさにそういう感じだと思います。今回、カップリングの「表参道」も含め、とくに印象的なのがストリングスのアレンジだと感じますが、こんなにすごい動きをしていて、ストリングスが中心となってコード感が作られている曲は珍しいです。今回、とくにストリングスを中心に作ろうと思っていらしたのですか?
えっと〜、ストリングスがやっぱり…なんて言うんですかね…今は一番楽しいですね。まあ、基本、打込みの MIDIデータでデモを作っているんですけど、考えて作ったものが、実際に生で演奏されたものを聴いた時が一番楽しいですね。まあ、もちろん、ドラム、ベースっていうのは、慣れちゃってるっていうのはあると思いますし、打込んだものを生でやってもらって、すごくかっこよくなるのは当然っていうのもあるんですけど…。

Q)毎回、アレンジも全てご自身でやっていらっしゃると思うんですが、その打ち込みのデモは、ほぼ完成形に近い感じになっているのですか?
はい。もう、僕のデモは、音が悪いだけで、フレーズは全部CDと同じです。

Q)じゃあ、今回の「桜ナイトフィーバー」に関しても、これと同じデモがあるんですね?
はい、もう97~8%同じものです…。というか、そのデモのMIDIデータでCDを作っていますから。僕は、シンセがあんまり得意じゃないんで、デモの音源は昔ながらのROLANDのSC-8850を使ってるんですけど、それでイメージに近い音で作っておいて、マニピュレーターにそのデモとデータを渡して、この音色はこうだって説明して、いい音を作ってもらう…、っていうやり方です。だから、やってることは全部一緒。弦は、シンセで入ってたのが生になってるっていうことですね。ギターも、僕の華麗なギターソロが唱くん(和田唱)になってる…(笑)。ソロのフレーズは、ぜんぜん違いますけど。

Q)デモでは、ギターソロも弾いてるんですか?
はい、ソロは弾いてます…。僕は、中学の時、まだまわりにギターを弾く人がいなかったので、ギタリストとしては、そこで頂点に立ったので…(笑)。でも、そっから向上してないんですよ。そのソロが…大好評で…(笑)…根本要さん(スターダスト☆レビュー)には「あんたには勝てないよ…目の奥がチリチリする…」って言われてますけど…(笑)。

Q)そのKANさんのギターソロを聴いてみたいですね…。今回、「桜ナイトフィーバー」でギターソロを弾かれているTRICERATOPSの和田唱さんは、以前からお知り合いだったのですか?
はい、もう、ここ数年いろいろ音楽的にも交流があって、彼らは、それぞれプレイヤーとしてもスゴイですからね。ドラムの吉田くんは、既に、アルバムでも2曲叩いてもらっていますし、唱くんにも参加してほしいなっていうのは、数年前からあったので、やっと実現したという感じですね。

Q)そもそも、TRICERATOPSとは、どういう出会いだったのですか?
そもそもは、イベントで一緒になって、その時に…。それ以前にも、もちろん、TRICERATOPSというバンドの存在は知っていたんですけど、とくに、すすんで聴くことはなかったんですね。でも、イベントで演奏を初めて見た時、「すごいかっこいいな」って思って、それから聴くようになったんです。もう、すごくファンですね。

 


Q)今回のカップリング曲「表参道」は、日本人になじみ深い「オー・シャンゼリゼ」のメロディに、サビの「♪お〜もってさんど〜」が、あまりにも巧く乗っかっているので、聴いたあとも、ず〜っと頭の中でグルグルまわりますね…。「表参道は、日本のシャンゼリゼ通り…」、たしかに言われてみればそんな気もしますが、それを「オー・シャンゼリゼ」のメロディに乗せるという発想は、どういう時に思いついたのですか?
いや、これも、もう漠然と…、それこそ、桜に関して「やだな」って思ってるのと同じような感じで、「表参道はシャンゼリゼだよな…」っていうのは漠然と思ってましたね。まあ、似てるって言っても違いますけど…、でもやっぱり、坂の感じとかが似てるのかもしれないですね。ゆる〜い坂なんですよね…、両側に大きい木がず〜っと並んでて。

Q)両A面にしていいくらいの曲だと思いますが…
そういう意識でやってます。でも、シングルのカップリングって、いっぱい曲が書けない僕としては、難しくてですね…。シングルに入っているものがそのままアルバムに入っているっていうのも、両方買ってくれるお客様には悪いですし…。でも、やっぱり、自分で納得のいく曲だったらアルバムに入れたいですしね…、カップリング的には…、イマイチの曲が出来ると一番いいんですけどね…(笑)。

Q)2010年のシングル「よければ一緒に」では、CDにもなっていない「バイ バイ バイ」という曲、シングルでも出せるくらいの名バラードのライブバージョンが収録されていたりしますね…
カップリングは過去にもいろいろなことを試したんです。そういうライブバージョンの曲を入れたり、『ボン・マルシェ』って名前でハイヴィジュアル系のバンドをやったりとか…。ひとつ前のシングル「Listen to the Music」の時はカバーをやって、出す時期が12月だったので、Gilbert O'Sullivan の「Christmas Song」って、スゴイいい曲なのにあんまり知られてない曲を入れたりとか…。で、今度も何かカバーをやろうと思っていたんですけど、でも、「ただカバーをやっても、それもつまんないよな…」って思って、で、「表参道とシャンゼリゼ」を本気で作ってみたらどうなるかやってみようって思ったんです。

Q)「オー・シャンゼリゼ」のメロに乗せようと思ったはいつですか?
その頃ですね。普通に「♪オー〜シャンゼリゼ〜」が「♪お〜もってさんど〜」でいけるな…って思って、それをちゃんと作ってみようと…。

Q)言われてみれば簡単なコトですが、それがひらめいたことがスゴイです。その時点で、この曲は、ほぼ成功みたいな感じですね…。ところで、この曲は、奥田民生さんがベースを弾かれているんですよね、コーラスもいっぱい入っていますが…、奥田民生さんがベースで参加っていうのも何か意外な感じもします…
いや、えっと〜、民生くんは、OTRL(Okuda Tamio Recording Live)っていう、一人でライブでレコーディングするツアーっていうのをやってて、全楽器をやることはなんとなく知ってたんですけど、今回、ビートルズのマニアックアレンジなので、「ビートルズが体に染みついている人でやりたい…」って思ってたんです。で、サンコンくん(ウルフルズ・ドラム)と、唱くん(TRICERATOPS・ギター)と、「で、ベースは誰にしようかな…?」って思ってたんですけど、ある時、飲み屋でばったり民生くんに会って、「民生くんのベースって全然アリだろうな…」って思って、それでお願いしたんです。

Q)民生さんとはいつからお友達だったのですか…?
ずいぶん前から知ってますけど、演奏したのは今回が初めてです。もともとは何だろうなぁ〜、相当前ですからね…、ラジオのゲストに出たり出てもらったりとか…、飲み屋で会ったりとか…(笑)、そんな感じですかね。

Q)なるほど、「表参道」のイントロに、オマージュ的に使われている「All You Need Is Love」が沁みこんでいる人たちで固めようってことだったんですね…
いや、「All You Need Is Love」だけじゃなくて、もう、ビートルズが、完全に体の中に入っている人ね…。

Q)そういうことだったんですね。普段は、ベースなら、高水健司さんとか富倉安生さんとか美久月千晴さんとか、錚々たるミュージシャンの方が弾いていらっしゃいますから…
うん、でも、そういうスタジオミュージシャンよりも、名前が表に出ている人たちの方が楽しいじゃないですか。せっかく、こういう企画を…、ある意味企画ものですから、それを徹底的に遊び尽くすというか、やるんだったら、やっぱりそのくらいの方が、話も盛り上がるし…(笑)…うん…。



Q)歌詞のことをお聞きしたいのですが、KANさんは、言葉の選び方が独特で、普段、あまり歌詞に使わないような言葉を使われたり、メロディへの言葉の乗せ方も「普通、こういう風には乗せない…」というものがあったりしますが、でも、すごく自然に聴こえます。そして、最も印象的なのは、どの曲も、韻を多く踏んでいることだと思います。歌詞を書く時には、どんなことを意識してるのでしょうか?
えっと…、基本はメロディが先にあって、メロディの感じ、リズムも含めて、そこに「音」として「言葉」をどう乗ってけていくのか?って感じの作り方がほとんどですね。今回、たまたまこの2曲は、「♪さくら フィ〜バ〜 フィ〜バ〜」も、「表参道」の「♪お〜もってさんど〜」も、メロディと同時に言葉も思いついたので、自然にそうなったっていうのもありますけど…。

Q)メロディにのった時の「音」、「サウンドとしての言葉」を大事にされているのですね。そこを大事にしていくるから、自然と韻を踏むことに…?
そうですね、サウンドとしての言葉は重視していますね。韻を踏むことは…、それは、ビートルズもビリー・ジョエルも当たり前にそうなっていますし、自然なことだと思っていますね。

Q)たしかに、洋楽では、基本的に、韻を踏んでいないと歌詞じゃないですからね…。じゃあ、とくに意識しているわけではないんですね?
うん。ただ単に韻を踏むってことは、誰でもやることだからね…。とくに意識してるのは、「行ごと踏む」ってことですかね…。「桜ナイトフィーバー」だと、たとえば、「日本の人々は どうにもこうにも忙しい 一本調子のキッカケで 消費と浪費を行ったり来たり…」ってところの「全体踏み」とか…、「日本の〜」「一本調子の〜」とか、全体で踏むことは意識してますね。たとえば、「表参道」だと、「踊りたくなるよなリズム…」「ゆるり間もなく陽が沈む…」みたいに、まるごと全く同じ母音で踏んでたりとか…、語尾は自然にやることだと思いますから…。


Q)サウンドとしての響きが気持ちいいだけでなくて、意味としても説得力があって、歌詞としてレベルが高く成立している曲って、なかなかないと思いますが…
それは、やっぱ…考えますね…、すごく…。

Q)こういうすごい歌詞が書けるっていうのは、どうして培われてきたものなのでしょう?
いや〜わかんないです…。曲は、もう好きなアーティストはいっぱいあって、いろいろ聴いてたり、目標にして曲を作ったり、アレンジとかもどうなってるのか研究したりしましたけど、邦楽は全然聴いてないので、歌詞で影響を受けたものとかがないんですよ。

Q)邦楽で影響を受けたものは全くないのですか?
最近はありますよ。

Q)最近は、たとえば…?
最近は、それこそ、浜田省吾さんを作ろうと思って作ったものもありますし…。

Q)サウンドもメロディも、イントロのフェイクまで、まるで浜省に聴こえる「エンドレス」ですね…、「湯の川温泉」が出てくる…
そうです。槙原くんも前に作りましたしね。あと、ほかには、ミスチルもスキマスイッチも…。ていうか、1991年ころ、29歳くらいまでは、洋楽しか聴いてなかったんですよ。世代的にも、「洋楽はカッコよくて、邦楽はダサイ」って時代でしたからね。だから、邦楽はダサイと思いながら、自分が邦楽アーティストになってた感じなんですけど…(笑)。

Q)たとえば、日本語の歌詞で「よく書けているなぁ」とか、「すごいなぁ」とか思われた歌詞とかアーティストとかはありますか…?
あっ、それはもう、今はいっぱいあります。たとえば…、ASKAさんの「はじまりはいつも雨」っていうのを聴いた時は、初めて邦楽の曲でガーンってすごく沁みてきて…。

Q)それは、やっぱりメロディに乗った言葉が…?
う〜ん…、まあ…「沁みるのは何か…」って分析してる感じだと全然沁みてないんでしょうね…(笑)…だと思うんですよ。その歌詞がどういう風にいいとか、そんなことじゃなくて、「この曲はいい曲だなぁ…」って、やっぱ自然と入ってくるんですね。1991年くらいだと思うんですけど、それから、だんだん、ASKAさんのソロも聴くようになったりして、まわりに、同じアーティストの知り合いが増えていくことによって、その人たちが新しいの出したら、くれるじゃないですか。当然、「よし、どんなもん作ってるのか…」とか、「このヒトはどういうものを作るんだろう?」って思って聴いてるんで、「うわぁ〜これはスゴイなぁ〜」とか思うものはいろいろありますね。

Q)ASKAさん以外では、歌詞を書かれる方で、「この人スゴイ!」って人はいますか?
あっ、それは、みんなスゴイです(笑)。いや、みんなって言うか…、みんなそれぞれ面白いところがあるし、もちろん、つまんないものもありますけど、ただ、やっぱり、そのクオリティで出し続けているってことがスゴイって思いますよね。それは、Mr.Childrenの桜井くんもやっぱりスゴイと思いますし…、aikoとかも…。

Q)aikoさんは、KANさんの大ファンだと公言していますね…
ああ…、ありがとうございます。aikoも、あのクオリティでずっと保ち続けている十数年間って、とんでもない努力しているんだと思いますね…。



Q)子供の頃に耳にして、印象的に覚えている曲とかってありますか?
ああ、それは、なんとなくいっぱいあると思いますね…。だけど、歌詞とかって、考えたこともないですからね。たとえば…、母親がジュリー(沢田研二)のファンだったので、タイガースはコンサートにも行ってますね。ウェスタンカーニバルも見てるし…、後楽園球場でも…。

Q)ホントですか? 連れられて行ったのですか? でも、当時、福岡に住んでいらっしゃったのでは…?
はい、そうなんですけど、母の実家が東京で、夏休みは必ず東京っていうのがあって、もちろん、福岡でも見てますけどね。タイガースに限らず、レコードもいっぱい家にありましたし…。

Q)そういうレコードが家でかかってた?
かかってたと言うか…、父が福岡の放送局にいたこともあて、サンプル盤のレコードが常に送られてくるんですよ。それで、山積みになって全然聴いてないのを、時々、兄と「じゃあ聴くか…」って開けて聴いたりもしてましたね。

Q)その中に気にいったものはなかったのですか?
いや〜、自分で意識して聴くようになったのは、ビートルズからですね。

Q)そもそもビートルズとの出会いは?
うんと〜、多分、6年生くらいの時、1973〜74年くらいだと思うんですけど、映画の3本立てで、「A Hard Day's Night」(邦題「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」)と「Help!」(邦題「ヘルプ! 4人はアイドル」)と「Let It Be」(邦題「レット・イット・ビー」)がやってて、それを母親に「見てきなさい」って言われて、僕と友達とで見に行ったんですよ。

Q)スゴイお母さんですね…。それで、映画を見てやられちゃったのですか?
やられてまではなかったですけど、すごいカッコいいなぁ〜って思いましたね。あと、聴いたことのある曲がいくつかあって、一緒に行った友達が「コレ、ウチにレコードがある」って話になって…、そいつのお姉さんが持ってたんですよ。だけど、レコードは消耗品なので、いない時に聴いているのがバレると大変に怒られるんですよね。だから、コッソリ聴いてて、玄関がガチャっていうと、「わっ!帰ってきた!」って、あわててレコードしまうって、それこそ、エロ本見てるような状況ですよ…(笑)。

Q)そこからビートルズのファンになって、その後、ビートルズのコピーバンド「ザ・ミートルズ (The Meatles)」を始めることになるのですね…?
そうですね…。で、そんな頃に、たまたま、そいつのウチとの中間点にレコード店が出来て、それで、「毎月、二人で順繰りにビートルズのアルバムを買おう」ってことになったんですよね。そうやって、二人で揃えてて、当然、中学になって、ギターを弾くようになって、自然とビートルズを弾くようになって、録音しようってことになったんですよ。で、多重録音を始めたんです。

Q)えっ? 中学の時に多重録音ですか?
そうです。それが、「ザ・ミートルズ」の始まり。そいつが、電気関係にすごく長けてたヤツで、1コのマイクの差し込みを2つに分けるやつを作っちゃうんですよ。それで、2台のラジカセでどういう風にしたら多重録音ができるかってやってみるんです。当然、「コレを流しながら、コレを録音すると、ドンドン音が悪くなるから…」ってとこも計算してやってたんですよね。ほかにも、ウチにあったエレクトーンをアンプに改造したりとか…、そいつは、後に、高校の時には、シンセまで作ってましたね。

Q)高校の時にシンセって…その時代に…? 当時、シンセっぽいものって、単音でしか鳴らないROLANDのSH-1とか、ポリで鳴るのは、ソリーナ・ストリングスかコンボオルガンくらいしかない頃ですよね…?
そうです、まだ70年代の終わり頃です。捨ててあるオルガンを拾ってきて、鍵盤はそのまま使って、裏に何かこういう回路板みたいなのを付けてましたね。でも、何をどうすると音が変わるっていうのも、そいつしかわからないんですよ…、でも、たしかに、それによって音が変わるんですよ。結局、使わなかったですけどね…。そいつは、アンプも作ってたんですけど、クッキングアンプって言ってて、「なんか炒める音しかしないな〜」って…(笑)、「じゅ〜じゅ〜」って…(笑)。

Q)先ほど、ギターを自然と弾くようになったとおっしゃっていましたが、ギターが家にあったのですか?
そうですね。それまでピアノを習ってたんですけど、ウチにギターがあったので、当然、「これはどう鳴るんだろう…」ってさわりますよね。ただ、最初は、コードって知らなかったんですよ。ピアノはやってたんで「ドミソ」とか「ドファラ」とかそういう考え方でやって押さえてみたり、「こうやるとこういう響きになる…」とかやってみてたんですけど、それこそ、指1本で全部の弦を押さえるって発想なんてなかったですね。で、中学になって「コード本がある」ってことを知って、「F」のコードとか「あっ、そうすりゃいいのか!」ってわかったんです。中学校に入って、みんながギターに興味を持つころには、もう弾けてました。

Q)それで、コード本を見つけてから弾いてたのは、どんな曲だったのですか?
それは、かまやつひろしさん「我が良き友よ」とか…。

Q)「♪ゲタをならして〜ヤツが来る〜」ですか…、弾きながら歌ってたんですか? なぜ「我が良き友よ」を…?
あれは、コードが、「Am」と「Em」で簡単そう…とか、そんな感じですかね。でも、歌ってないですよ。人前では歌ってない。人前で歌ったのは、初めて組んだビートルズのコピーバンド「ザ・ミートルズ」が最初です。とにかく、中学の頃、多重録音をするようになってからは、ドンドン、ビートルズのコピーをやってましたね。

Q)本当にビートルズがルーツなんですね…
ですね〜。初めてちゃんと意識して音楽を聴いたっていうのは…。



Q)それ以降は、最初という意味でビートルズにはかなわないとしても、衝撃を受けた音楽は他にありましたか?
やっぱり、ビリー・ジョエルですね。最初に聴いたのは「ニューヨーク52番街」("52nd Street")です。

Q)「オネスティ」("Honesty" )とか「マイ・ライフ」("My Life")とかも入っている、日本でもヒットしたアルバムですね…。どういうきっかけで聴いたのですか?
高校1年のころ、水泳部の友達がレコードを持ってて、それを借りてカセットに録音して聴いてて「コレはスゴイ!」って思いましたね。まあ、ビートルズにはない感じがあるなあって思って。それで、耳コピしてたんですけど、4曲目の「ザンジバル」("Zanzibar")って曲になった時、間奏が、どうやってもわかんなくて、仕方なく楽譜を買いに行ったのを覚えてますね…、ヤマハに…。そしたら、考えもしなかったことを弾いてるんで、もうビックリしました。それまで、ビートルズは全部耳でコピー出来てたんですよ。とくに、ピアノとかもそんなに難しくなかったですし、でも、ビリー・ジョエルは、ジャズが出て来たところから全然わかんなくなりましたね…。

Q)もともとは、小さい頃からクラッシックピアノをやられてて、ビートルズは比較的シンプルなコードで、それで、テンションコードみたいなのは、ビリー・ジョエルからですか?
そうそう、そうですね…。

Q)それ以降は、そういう衝撃的な出会いは、もうないですか?
いや、もう、それはいっぱいありますよ。まあ、そのくらい強烈なのはないですけど、スティービー・ワンダーも、ホール&オーツも、すごい好きで聴いてて、すごく影響を受けていますね。衝撃を受けるかどうかは、アーティストの問題というよりは、こっちの年齢だと思うんですよね…。

Q)そういうことですね…。年齢とか、自分がどういうタイミングで聴いたかとか…
そう。だから、やっぱり二十歳こえてくると、中学生の頃のように「うわぁ〜!」みたいにはならないでしょ。どんどん年とともにならなくなっていくと思うんですけどね。だから、好きで聴いてたのはいっぱいありますけど、衝撃を受けたってことで言うと、ビートルズとビリー・ジョエルかな…。ウィングスは、また別に、あらためて衝撃でしたけどね。

Q)最近の音楽を、意識的に聴かれたりもしますか?
自分で、好きで買ってるのは、中田ヤスカタ作品ですね。Perfumeきゃりーちゃん…。

Q)ホントですか〜? 買って聴いてるんですか?
もちろん。だって、今、僕にとっては、「ビートルズ、ビリー・ジョエル、中田ヤスタカ」って並ぶくらいにスゴイと思うし、スゴイ好きですし…。はい、あの…、Perfume、きゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)は、必ずフラゲしてます…。Perfumeさんは、送ってもくれるんです。でも、僕はファンだから、ちゃんと自分で予約して、発売日前日に買うっていうのが…、だから、Perfumeはね、聴いてるヤツと開けてないのがズラッと2枚づつ以上ありますよ。Perfumeも、きゃりーちゃんも、コンサートは必ず行ってますし…、もちろん、お願いして席を取って頂くんですけど、ちゃんと、チケットは買わせて頂くっていう…、それはファンとしての礼儀ですから…。

Q)最新アルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」(2010年)には、Perfumeが歌っていてもおかしくないような「REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜」って曲も入ってますけど…
ああ、「レジ子スター」は、もう完全に「中田ヤスカタ」ですから…(笑)。


  【コンサートツアー】

弾き語りばったり #19 「今ここでエンジンさえ掛かれば」
2014年10月 〜 2015年6月まで、全国27公演!

ツアーの詳細はコチラ!

  【レギュラー番組】

STVラジオ(北海道)「KANのロックボンソワ
毎週土曜深夜 24:00〜25:00

FM COCOLO(大阪)「KANと要のWabi-Sabiナイト
毎週土曜日18:00〜19:00 再放送:金曜日22:00〜23:00


シングルCD 「 桜ナイトフィーバー 」  

2015年 2月 25日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPCE-7088 \1,000(税別)

<CD収録曲>

01 桜ナイトフィーバー
02 表参道
03 桜ナイトフィーバー (instrumental)
04 表参道 (instrumental)

  

最新アルバムCD+DVD
「 カンチガイもハナハダしい私の人生 」
 

2010年 3月 10日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPCE-5700/5701 \3,200(税別)

<CD収録曲>

01 REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜
02 小学3年生
03 ピーナッツ
04 バイバイバイ (studio recording)
05 青春の風
06 ordinary days
07 オー・ルヴォワール・パリ
08 よければ一緒に (full size)
09 予定どおりに偶然に (with ASKA)

  

DVD 「 KAN BAND LIVE TOUR 2014【Think Your Cool Kick Yell Come On !】 」  


LIVE DVD発売!
2014年3月28日、NHK大阪ホールでのライブをほぼ完全収録!
DVD2枚組 (約2時間50分/全22曲)

2014年 10月 15日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPBE-5497-8 \7,020(税別)


  


1962年9月24日生まれ、福岡県福岡市出身のシンガーソングライター。本名は「木村 和(きむら かん)」。1987年、ポリドールよりシングル「テレビの中に」と同名のアルバムでレコードデビュー。これまでに、シングル34枚、オリジナルアルバム15枚を発表。1991年、「愛は勝つ」がテレビ番組のエンディングテーマに使われ大ヒット。シングルは200万枚を超えるセールスとなり、オリコンチャートイン52週のロングヒットを記録。第33回日本レコード大賞(ポップス・ロック部門)受賞、第42回NHK紅白歌合戦にも出場。その後、「プロポーズ」「言えずのI LOVE YOU」「まゆみ」「丸いお尻が許せない」「さよならだけどさよならじゃない」「死ぬまで君を離さない」「いつもまじめに君のこと」など多くの曲がCMやテレビ番組で使われる。

2002年から住居をパリに移し、クラッシックピアノの学校に通う。2004年に帰国し、弾き語りツアー「弾き語りばったり」を開始。その後、桜井和寿(Mr.Children)やスターダスト☆レビューらとユニットを結成したり、キマグレン、一青窈との共作曲を発表するなど、ソロ以外でも活動の幅を広げる。中国・上海や、ロシア・モスクワなど海外イベントにも出演。また、これまで、今井美樹、松本伊代、薬師丸ひろ子、SMAP、後藤真希、平井堅、真野恵里菜、つるの剛士らにも楽曲を提供。2013年発売、森高千里が歌った「くまモンもん」もKANの作品(作詞は小山薫堂との共作)。好評のバンドライブでは、コントや寸劇、ダンス等、様々なパフォーマンスが盛り込まれ、自身「音楽ギャグエンターテイメントショー」と呼んでいる。ユニークで楽しいオフシャルサイトは必見。

KAN オフィシャルサイト
KAN「桜ナイトフィーバー」"逆"段階的試聴 (制作過程が聴けます)
歌ネット・小貫信昭の「名曲!言葉の魔法」 〜第30回 KAN「愛は勝つ」〜

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