片想い、両想い、失恋…。恋をしているすべてのひとへ!

 【告うた】のカリスマと称される“erica”がニューアルバム『告うた3~あなたへ贈る歌2~』をリリース!今作には、歌ネットの歴代人気曲でもある「あなたへ贈る歌」の5年後を描いた「あなたへ贈る歌2」をはじめ、16の告白ストーリーが綴られております。彼女は、楽曲のイメージから“恋愛のカリスマ”であると思われがちだけれど、実はご自身の恋は涙、涙、涙なんだとか…。でもそんな実体験があるからこそ「誰にも伝えられない、どこにも吐き出せない気持ち」を描き尽くせるのがericaの魅力。新曲へのまっすぐな想いから、ちょっと哀しい恋バナまでたっぷり語っていただきました!

(取材・文 / 井出美緒)
あなたへ贈る歌2 作詞:erica 作曲:erica・nao あなたが 好き 好き 何度でも言うよ 今日も明日もこの先もずっと
いつか歳をとり 重ねた日々を 愛しく思える未来になるように
もう隣を歩いてるだけの私じゃなくて あなたが頼れる人に なりたいな
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“恋愛セミナー”じゃなくて“恋愛サークル”なんです。

―― ericaさんといえば【告うた】というワードが代名詞でもありますが、これは「好き」を告白する片想いソングだけを意味するものではないんですよね。

そうなんです。最初はそういうザ・片想いソングを【告うた】と呼んでいたんですけど、作っていくなかでちょっと切り口を変えまして。多分『告うた2~卒業までに伝えたいこと~』くらいのタイミングだったと思います。たとえば、感謝とか、未練や後悔とか、今だから言える想いとか、そういう誰かに伝えたい“本当の気持ち”を歌で告白したものを【告うた】と呼ぶようになりましたね。

―― また、ericaさんはご自身のTwitterで「今恋してる人ー?」と問いかけたり、そのリプライに答えたり、すごくファンの方との距離感が近い印象もあります。

photo_01です。

たしかに、友達と話しているような感覚でツイートしていることが多いです(笑)。なんか私“【告うた】のカリスマ”とか言っていただいて、それは嬉しいんですけど、同時に“恋愛のカリスマ”だとも思われがちなんですね。だけど実際は、20歳~25歳まで事務所が恋愛禁止でしたし、学生時代もショートカットで、ジャージで、毎日部活のバスケばっかりやっていて、おちゃらけキャラ・盛り上げ役で。自分が女性として見られて、恋愛対象になることが少なかったので、ちゃんと恋愛してこなかったんです。

それゆえに、恋愛が上手くいかないみんなの悩みがめちゃくちゃわかるというか。朝まで長電話をしたり、ファミレスでドリンクバーで繋ぎながら延々と話をしたり、作戦会議をしたり、一緒に泣いて笑って、曲が生まれている感覚なんですよね。だから、みんなにとって、いつでも相談できる良き親友のような存在でありたいし、歌もそういう距離の近いものでありたいと思っています。そして全く恋愛のカリスマではありません(笑)。

―― なるほど…。私も今お話を訊くまでは、恋愛経験が豊富な方なのだと思っていました。

いやいやいや、モテる方はこんな悩み込んだ歌詞を書かないですよ!私が好きになるひとは大体、私と真逆のタイプが好きだし。自信がなくて、勇気もなくて、誰かと比べて嫉妬して、でも何も出来なくて一人で泣く…みたいな恋ばっかり。本当に恋愛に関しては、涙ばっかり流してきました(笑)。だから私の歌は“恋愛セミナー”じゃなくて“恋愛サークル”に近い気がします。一緒に考えて悩んで、でも「絶対に一緒にイイ女になろうね!」みたいなね。

―― ファンの方との恋愛相談のやり取りが歌詞に繋がることも多いのでしょうか。

それが多いですね。でも、やっぱり私は恋愛講師じゃないから、自分がわからないお悩みはピックアップしないです。昔はそういう声にも全て答えようと、一日30個とか一生懸命ブログのお返事をしていたんですけど。すると「好きなひとが5人いるんですけど、どうすればいいですか?」なんて質問も来るわけですよ。ちょ…わかんないよ!経験ないもん!って(笑)。それでも考えて考えて「今日、地球が終わるとしたら、誰に会いたいかを考えて、一番に浮かんだひとじゃないかな?」とか返したりして。私がYahoo!知恵袋に訊きたいくらいでした(笑)。今はもうそういうのはやめて、自分が共感できるような想いを歌にするようになりましたね。

―― でも、これだけ【告うた】というジャンルで歌を作り続けてくると、スランプやネタ切れになることはありませんか?

あ~【告うた】が“片想いソング”だけを意味していた時期は、スランプに陥りました。告白のラブソングとなると、どうしてもワードが限られてきまして。いっぱい作っていると「これ前にも使ったな…」というフレーズが出てきちゃうんですよ。それで「違うワードに変えなきゃ」と言葉を選び直したりしていました。でもそれだと結局、作品としてしっくりこなくて。最初に選んだ言葉が「これを伝えたい」という素直な想いで、やっぱり他の言葉では越えられないんですよね。だから「たとえ何回使っていたとしても、使いたいと想った言葉を入れよう!」と決めてからは、だいぶ楽になったような気がします。

―― 先ほど「距離の近い歌でありたい」とおっしゃっていましたが、歌い方も“歌い上げる”というよりは“近くに寄り添っている”ような感じですよね。だからこそ、歌詞が聴き取りやすくて、より身近に感じられる気がします。

それを言っていただけるとめちゃくちゃ嬉しいです!いわゆる「このひと上手いね~」って歌い方だと、私の歌詞の場合あまり響かないのかなって。本当はソウルフルに歌うこともできなくはないし、そう歌いたい曲もあるんですけど、何より“歌詞”を届けたいので。そのためには“歌い上げる”ことはミスマッチで。そこは結構、意識しているんです。

あと私の歌詞は、あえてすごくシンプルでストレートな言葉にしているところもあって。もっとお洒落な歌詞を書くアーティストさんもたくさんいるじゃないですか。たとえば、英語と日本語を散りばめたり、愛を違うものに例えてみたり。でも私は“相手に伝えたい言葉を手紙のように書くこと”を一番大事にしているから、ありきたりな言葉になりがちだけど、そこも「距離の近い歌」を作るために優先させていますね。

―― 歌詞にあまり具体的な場所や時間、シチュエーションを綴ることも少ないですよね。

そうそう!まぁたまに綴ることもあるんですけど、私だけの特別なストーリーだと思っていたことって、結構みんな経験しているんですよ(笑)。深夜のデート、路上でしたキス、春に見た桜、海ではしゃいだ夏、誕生日にくれた花束、コンビニでどっちのアイスを選ぶかのじゃんけん…とか。オンリーワンの思い出なはずが「みんなも案外、路上でキスするんだ!?」みたいな(笑)。これもまた私の恋愛経験不足が表れていますよねぇ。だから具体的に描いてみようとしても、結局みんなが共感するものになっている気がします。とはいえ、絶対に私しかしてない行動を歌詞にするとそれはそれでマニアックすぎて…。

―― 気になります。

たとえば、私はスマホを2台持っているんですけど。会社用と自分用。好きなひとにLINEを送るとき、相手に送信する前に1度、会社用スマホから自分用スマホのLINEへ同じ文章を送信するんですよ。それで、ピコン!って画面に表示されたときの、文章と絵文字の雰囲気を見るんです。この絵文字じゃちょっと変かな!?とか。文章に圧はないだろうか!?とか。だって「今何してる~?」のひと言でも結構、絵文字で印象が変わるから。

―― それは…マニアックですね。

まずみんなスマホ2台持ちしてないでしょうし(笑)。でも私はそうやって、自分に自分でLINEをして練習しているわけですよ。こんな実体験を歌詞にしても絶対に共感されないですよねぇ。あと、すぐに既読もできません。未読のまま眺めて「う~ん…ちょっと一回保留」と。それから友達に「どう思う?」と相談している間に30分ロス。絵文字のチョイスでまた30分ロス。結果、1時間くらい遅れて急いで返信することになるんです。でも、相手は裏で1時間も悩んでいるなんて思いもしないんでしょうね。私もサッ…とそつない感じに返信しますし(笑)。

―― もはや恋愛マスターの技に感じられてきました(笑)。ちなみに、年齢を重ねるにつれて歌詞に落とし込む恋愛観って変化しましたか?

それがまったく変わっていないんですよ。だからこそ今の年齢の私が等身大のつもりで書く歌詞が、中高生に響くわけです(笑)。実は本当にそこが課題でして。やっぱりもっと同世代の女性にも聴いてほしい。私は不器用で仕事が充実しないと恋愛まで手が回らないという現実もありまして。きっとここで悩んでいる方も多いと思っていて。そういう部分では共感してもらえる世界観の歌詞を書けそうです。

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