虜になる…人気急上昇中のバンド!

 今年5月に発売した2ndシングル「拝啓、ツラツストラ」がTVアニメ「ドラゴンボール改」エンディングテーマに大抜擢され、今、飛ぶ鳥を落とす勢いの4人組ロックバンド"グッドモーニングアメリカ"が、2ndアルバム「inトーキョーシティ」をリリース!

 ヴォーカルの金廣真悟が綴る、無常な視点で捉えた現実を表現しつつも、温かみのある歌詞と、一聴しただけで虜になる熱いロックサウンドが炸裂したアルバム!ライブバンドならではの勢いと魂のこもった楽曲は、生きる活力を与えてくれる!

 歌ネットでは、そんな話題の作品を、いち早くお届けします!

inトーキョーシティ 作詞・作曲:Shingo Kanehiro
私ただの被害者です
私ただの犠牲者です
もはや生きた死亡者です
希望もない
自由もない
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INTERVIEW
「自信だけはいつもあった」

まず、バンド名の由来を教えてください。

金廣:"グッドモーニングアメリカ"の前に "for better, for worse"という前身バンドを組んでいて、楽曲のスタイルを英語詞から日本語詞に変えることになって、一緒にバンド名も変えることにしたんです。でも、良いバンド名がなかなか思い浮かばなかった時に、今"HUSKING BEE"っていうバンドでベースを弾いている後輩が「サイドバンドでthe good morning americaっていうバンドを組もうと思っている」って言っているのを聞いて、そのバンド名がすごく気にいってしまって(笑)。それで「そのバンド名くれない?」って訊いてみたら、「いいよ」って言ってくれたので、そのバンド名をもらったんです。それから、theを抜いてカタカナに変えて今のバンド名になりました。

そうだったんですね(笑)。英語詞から日本語詞に切り替えるのは、大きな決断でしたね。

金廣:何回か日本語でレコーディングしたことはあったんですけど、日本語で歌うことに対して変に重く考えて拒絶していたんですよね。今、思うと、そのまま日本語詞を乗せても良かったなって思うんですけど(笑)。その後、英語はカタカナで表記するようにしていたんですけど、今回、曲のタイトルを英語にしたこともあって、少しずつこだわりが壊れかけていますね(笑)。

前身バンドから数えると、結成13年目でメジャーデビューされましたが、長い道のりでしたね。

金廣:メジャーに対しては、そんなに重くは考えてはなかったし、焦ってもいなかったですね。まわりのバンドがメジャーに行ってはインディーズに戻って苦労している姿を見ていたので、そういう風にならないようにしなきゃ、とは思っていました。変な自信だけはいつもあって、「今はダメでもいつかは…」っていう思いは、ずっとありました。

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バンドのモットーである「開いてく、届けてく」には、どんな思いが込められているのですか?

金廣:前身バンドの頃から、ライブはノーMCだったんですよ。曲と曲の間は違う曲で繋げたり、チューニングをしていてもしゃべらないで、軽い告知だけ言うみたいな感じで。楽曲を日本語詞に変えてもそのスタンスは変えなかったんですけど、お客さんに届いている感じがしなかったんですよね。「何がいけないんだろう?」って話し合いながら、徐々にMCをするようにして、一番良い形を模索していました。それまでは、たなしんのキャラを抑え込んでいたんですけど、あるMCの時にあのキャラがバーッと出た時があって、そしたらお客さんがずっと残ってくれて、そこからお客さんが増えてきてCDが売れるようになったんです。

たなしんさんのキャラの誕生秘話ですね(笑)。

金廣:自分たちが構えてライブをやっていたので、お客さんも同じように構えるのは当たり前だなって気づきましたね。だったら、奇抜なことをやったりしてお客さんの心に隙間を作る奴がいて、あとはその隙間に音楽を届ける。それが「開いてく、届けてく」なんです。

それでは10月22日にリリースとなる2ndアルバムについて、おうかがいします。アルバムのタイトルは、リード曲と同じ「inトーキョーシティ」ですね。

金廣:アルバム自体のコンセプトはなかったんですけど、「inトーキョーシティ」をアルバムのリード曲にすることは決めていました。歌詞はアルバムの最後に出来たんですけど、タイトルをつける段階でアルバムを見返してみたら、「スクランブル交差点」で終わるっていうこともあって、「トーキョーシティ」っていうタイトルがしっくり来るなって思ったんです。でも、なんか足りないなと思ったので、inを付け足けて、このタイトルになりました。

「マジョリティになりたいと思った」

リード曲「inトーキョーシティ」では、「敵殺す代わりに自分押し殺して」などインパクトのある歌詞が印象的ですね。

金廣:最初、歌詞を書く上でどのくらいの範囲のことを歌うかで悩みました。「マシンガン使って敵殺す」っていう表現があるんですけど、これはもともと歌いだしを「ルワンダシティ」で始めようと考えていたからです。でも、やっぱり自分の身近なことを歌ったほうがいいなって思うようになって、「トーキョーシティ」にしたんですけど、じゃあ「トーキョーシティ」だったら何を殺すんだろう?って考えた時に、自分を押し殺して生活する人が大なり小なりいるだろうって思ったので、この歌詞になりました。

被害者、犠牲者、犯罪者、加害者など○○者がたくさん綴られていますが、作詞は苦労されたんじゃないですか?

金廣:ひたすら考えましたね。被害者と部外者と加害者はメンバーに渡す用のデモにすでにあったので、そこからどう辻褄を合わせようかで悩みました。凄く悩んだ挙句、一人で鬼怒川温泉に逃げて、それで戻ってきて無事に出来たんです(笑)。

「拝啓、ツラツストラ」はドラゴンボール改のエンディングテーマとして話題を呼びましたが、タイアップの書き下ろしを経験してみて、作り手としても意味のある一曲になったんじゃないですか?

金廣:詰め詰めのツアー中に話をもらったんですけど、勝手にオープニングだと思って作っていたら、エンディングだって言われて(笑)。ドラゴンボールは誰もが知っているアニメだし、想像し易かったので、こっちがどういうスタンスで出すかだけでしたね。子供が歌えて、インパクトがあって、ライブでも盛り上がるっていうテーマが決まったら、その後は楽でした。

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1stシングル「イチ、ニッ、サンでジャンプ」ではサビ頭で数字を合わせていて、とてもキャッチ—に仕上がっていますが、この曲で聴く人の層も広がったんじゃないですか?

金廣:そうですね。アルバム「未来へのスパイラル」でメジャーデビューして、ツアーをまわる中で、フェスとかだけじゃなくて、もっと一般のお客さんが聴いたり歌える曲を作りたい。マイノリティからマジョリティになりたいと思ったんです。そういう思いで作ったので、ライブでも盛り上がる曲になったし、サビの数字合わせも上手くいったと思いますね。

「イチ、ニッ、サンでジャンプ」をはじめ、アルバムでも3曲寺岡呼人さんがプロデュースをされていますね。

金廣:1人違うスパイスが入ることに対して、僕としては楽しみが多かったですね。いつもはシンセの音とかは自分で作っているので、曲の中でどういう音が入っているかは把握しているんですけど、プロデュースしてくださった「イチ、ニッ、サンでジャンプ」「夕暮れ」「スクランブル交差点」は、まだ把握しきってない音があるので、聴くたびに「おっ!」っていう発見があるんですよ。呼人さんは知識も僕より全然多いから、すごく勉強になりましたね。

アルバムの曲を聴いていると、「駅」というワードがよく出てきますよね。

金廣:本当ですか?今回は、スタジオに向かう電車のなかで歌詞を考えることが多かったからですかね。難しいなって思うのが、7月に昔からあった曲もこのアルバムのために歌詞を書き直したので、今感というか、ニュース感はあるんですけど、逆に言うと同じ時期に作っているので、どうしてもシチュエーションが似てきちゃうのは仕方ないかなって思いますね。

アルバムは、どんなところに注目してもらいたいですか?

金廣:前作の「未来へのスパイラル」よりは進化しているなとか、「おっ!」って思わせるような曲、アレンジにしようと思って作ったので、良い意味で期待を裏切れればいいですね。シンセを使ったのが前回と違う点なので、どこでそれを使っているのかを注目して聴いてもらいたいです。

「良いものは時間が経っても覚えているもの」

普段、どのような流れで曲作りをされているのですか?

金廣:基本的に最初は頭の中である程度作りますね。ギターやピアノを弾いてしまうとそれが固定概念になってしまうので、あまり楽器は触らないです。歩いている時に浮かぶことが多いので、3日経っても覚えていれば、そのイメージを膨らませていきます。たとえば、「スクランブル交差点」は、グッドモーニングアメリカになる前から、「スクランブル交差点」っていう歌詞とメロディーはあって、シングルやアルバムの話があるごとに思い浮かんでいたので、いい曲になるとは思っていました。良いものは時間が経っても覚えているものなんですよね。

詞を書く上で大切にしていることは何ですか?

金廣:メンバーに渡すためのデモの段階では、適当な言葉で歌っているんですけど、適当な言葉の中にも引っかかる言葉があって、それはすごく大事にしています。メロから生まれる歌詞から作っていくことが多いので、タイトルになることも多いですね。あとは、自分に嘘をつかないことは大事にしています。前身バンドの時は、僕と当時のドラムが曲作りをしていたんですけど、そのドラムが書いた歌詞は"俺はそうは思わないな"って思うような歌詞だったので、どんどん歌えなくなっちゃったんですよ。その時、"やっぱり自分の歌しか歌えない"っていうのは、実感しましたね。

では、歌詞で魅力を感じるアーティストは?

金廣:最近、対談させてもらったんですけど、中村一義さんの歌詞は凄いなって思いましたね。言葉が出てくるところはめちゃめちゃ出てくるようにしていて、あとは英語で分からないように歌っている。あと、bonobosの歌詞が最近好きです。近しいバンドに比べて、歌詞が秀でていると思いますね。

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歌詞を書くことは、金廣さんにとってどのようなものですか?

金廣: "日記"っていう言葉が近いかな。自分がその時に思ったことを書くことが特に今作では多かったので。その日その日、その瞬間瞬間にも必ずストーリーがあるので、自分を思い返す日記のような気がします。昔は歌詞を書くことは苦行に近かったんですけど、最近やっと歌詞を書くことが楽しいって思うようになりました。

楽しくなったのには、何かきっかけがあったのですか?

金廣:寺岡呼人さんの影響なんですけど、昔はフワッとした状態のまま、全体に手をつけていたんですよ。無理に辻褄を合わせてみたり、いうなれば引き算の作業ばっかりを繰り返してストーリーを作っていたんです。でも、今回は起承転結を先に考えてからストーリーを書いていく、いわゆる足し算になったんです。作業的にはそんなに変わらないのに、効率が全然違うんですよ。

では、バンドとして、夢や目標としていることはありますか?

金廣:自分たちで大きなフェスをやりたいですね。今、小規模のフェスはやっているんですけど、1万5千規模のフェスが出来たらとは思っています。そのためにも、武道館公演という大舞台を超えて、その次の年にフェスを開催できたらいいですね。

それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。

金廣:僕も音楽を聴いて、歌詞が気になったら、歌ネットを使う時があります。なので、みなさんがこの記事を読んでいる時に、僕も読んでいるかもしれないです(笑)。もし、僕たちの音楽を耳にして気になったら、ライブに来てほしいですし、ぜひCDを買ってみて下さい。