片道急行

さようならも言わないで 夜のホームヘ駆け込んだ
こんな小さな町が嫌いで 何処か遠くへ逃げたくて

手ぶらのままでいいさと 格好つけてはみたけれど
あれもこれも詰め込んで 結局捨てられなかった

遠ざかる町の明かりが消えるたび 不安に火が灯る

どこまでも走れ 夜を駆け抜けて
僕だけを乗せた片道急行列車
もっと遠くまで 引き返せないように
歪んだレールを走って行け

今さら淋しくなって 窓の外を眺めても
そこには何もなかった こんな遠くへ来たんだな

ヘッドフォンから流れる 名曲と呼ぱれたあのナンバーも
なんの役にも立たねえ だけど何度も口ずさむ

流れてく景色の中で あの頃の僕が手を振ってた

怖くなってポケットを探った
帰りのチケットはどこだっけ
探したけど そうだ初めから持ってないこと分かってた

誰かが創った決められた道を
もうすぐ降り立って自分で歩くんだ
だからそれまでは臆病な僕を運んでくれないか

どこまでも走れ 夜を駆け抜けて
僕だけを乗せた片道急行列車
もっと遠くまで 引き返せないように
歪んだレールを走って行け
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