お江戸の色女

花のお江戸の 日本橋(にほんばし)
産湯(うぶゆ)つかった 絹の肌
粋(いき)な小紋(こもん)で 流し目送りゃ
下町すずめが 噂する
気障(きざ)な誘惑(せりふ)は まっぴらだけど
惚れりゃ一途の 深なさけ
鬢(びん)のほつれた うなじのあたり
年増盛りの 色気が匂う

月は十六夜(いざよい) 大川に
遠く聞こえる 三味の音
忍ぶ恋路の 八丁堀(はっちょうぼり)と
ふたりで猪牙舟(ちょきぶね) 柳橋
野暮(やぼ)な男衆の やさしさよりも
惚れたあんたに 妬かれたい
酒にほんのり 目許(めもと)を染めて
仇(あだ)な仕草(しぐさ)が 男をそそる

筑波山にも 朝陽が当たりゃ
そっと解(ほど)いた 腕まくら
浮気封じに あんたの胸に
紅(べに)で名を描(か)く 大江戸そだち
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