むらさき小唄(歌謡浪曲入り)

流す涙が お芝居ならば
何の苦労も あるまいに
濡れて燕(つばめ)の 泣く声は
あわれ浮名の 女形

(歌謡浪曲)
「お江戸の夜の 紫は
色もゆかりの 花川戸
助六さんに たてた義理
主(ぬし)に血道(ちみち)を揚げ巻きは
花形 中村 雪之丞
叩く涙の 牡丹刷毛」

(セリフ)
「浪路様
おこころざし嬉しゅうは存じますれど、
雪之丞めがお伝葉に従わぬは、
共に天を載かぬ、あなたと私の運命(さだめ)ゆえ、
お許しなされてくださりませ、
どうにもならぬ、
長崎以来の因縁でござりまする」

嘘か真(まこと)か 偽(にせ)むらさきか
男心を 誰か知る
散るも散らぬも 人の世の
命さびしや 薄ぼたん

(セリフ)
「浪路様 こりや何ゆえのご生涯、
たとえこの世で添えずとも、
未来できっと、
添い遂げましょう」
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