越前おんな舞い

春の名残りか 二ひら三ひら
襟に舞いこむ 雪の花
夢の灯りを 覗いただけで
涙 幕切れ 紅殼格子(べにがらごうし)
いいえ 昔は昔 今は今
越前花舞い おんな舞い

「竹の人形 ゆうぜん着せて
月の夜道を里帰り さて里帰り」

恋の着くずれ 乱れたままじゃ
芸の細道 迷うだけ
花のいのちも 加賀友禅(かがゆうぜん)も
情け手ざわり あとひく未練
いいえ 昔は昔 今は今
越前夢舞い おんな舞い

竹の林が 波打つたびに
うしろ振りむく 意気地なし
噛んだ小指に にじんだ紅が
生きる支えの 扇の要
いいえ 昔は昔 今は今
越前雪舞い おんな舞い
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