雨のオランダ坂

こぬか雨ふる 港の町の
蒼いガス燈の オランダ坂で
泣いて別れた マドロスさんは
縞のジャケツに オイルのコート
煙にむせてか 泣いていた
泣いていた

雨の降る日の 日暮れの頃に
思い出します オランダ坂を
遠いあの日を 忘れもせずに
濡れて歩けば 出船の汽笛
港恋しと 泣いている
泣いている

異人屋敷の 窓の灯りで
濡れてさまよう マドロスさんを
恋しい人かと のぞいてみれば
遠いお国の 見知らぬお人
オランダ坂の 雨の日よ
雨の日よ
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