薄明

夜になって指先の空に
たどり下った古い記憶の道
消した者は誰?
あどけない日々
いびつな夢はひどく懐かしくて

忘れるつもりはなかったのに
わからなくなってしまったよ
明かりを落として見えなくした
それで何が変わるわけではないのだけれど

まっさらに響くピアノ
乾いた部屋
残る匂い消える色
まるで無力な夏が雨を呼ぶみたいだ

忘れるつもりはなかったのに
わからなくなってしまったよ
明かりが薄れて
また失くしたものが増えたような気がした


もう変わるな
もう思うな
どうせ明日は何も覚えてはいないのだから
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