葉桜の季節

名もない駅に ふと降りたら
季節の風が迎えに来た
石だたみの続く坂道に
八重桜咲いてた

あなたともしも一緒ならば
立ち寄るような喫茶店の
ちいさなガラス窓 映るのは
ひとり旅 ひとつの影

あなたのことを忘れるために
たどる旅の先々で
想い出ばかりがまちぶせしてる
私をとりまくように

眩しい春の絵葉書には
私の気持書ききれずに
とり残されたまま 散ってゆく
葉桜を見つめていた

二人のあしあと今ふりかえれば
忘れものばかりだった
すぎゆく季節を惜しむ心に
冷たく雨がしみる
×