みちのくの春

根雪解けたと あの娘の便り
背籠(せかご)姿が 瞼に浮かぶ
遠く離れた 出稼ぎぐらし
慣れぬ仕事に 精出す俺を
山が呼んでる ああ待っている
……みちのくの春

裏の木立も 芽吹きの頃か
陽ざし恋しい 藁葺き屋根よ
力一ぱい 働きながら
齢を重ねて 育ててくれた
母が達者で ああ待っている
……みちのくの春

夢でつないだ 絆が辛い
抱けぬ情けを あの娘に詫びる
同じ苦労を 分けあいながら
共に住みたい あの故郷(ふるさと)で
南風(かぜ)もやさしく ああ待っている
……みちのくの春
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