心のきず

夜にまぎれて 船が出る
傷をかくした 人が乗る
惚れた惚れたお前を 抱けもせず
意地で身をひく 馬鹿も乗る
北の海峡 ひゅるひゅると
風が泣き泣き 別れ唄

夢に何度か 起こされる
胸のいたみに 責められる
たったたった一度の 想い出を
酒にうかべて 朝を待つ
北の海峡 海鳥が
一羽はぐれて しのび唄

赤い夕日が とろとろと
溶けて真近(まぢか)に 夜が来る
抱いて抱いて寝たいと この腕が
捨てたお前を 恋しがる
北の海峡 口笛が
未練ひきずり 恋の唄
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