鴎唄

右に燈台 左に鴎
春の景色を 二つに分けて
黒い貨物の 船がゆく
煙るたき火を ふと見つけ
砂に未練の 足跡きざむ
ここは旅路の 知らぬ町

過去と涙と 流れ木燃やし
細い煙りの 行方を見つめ
あなた住む町 振り返る
寒さしのぎの セーターも
胸に潮風 さしこむばかり
ここは旅路の 鴎町

泣きもしたけど 笑いもしたと
恋の終った 今では言える
それが私の なぐさめね
夢を見ないで 眠れても
そっと寝返る すき間が寒い
ここは旅路の 港町
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