夏の憧憬

夏の少年は 裸足のままで追いかけて行く
今日も疾走ってた 胸の高鳴りはるか

蝉の鳴き声降りそそぐ 午後の日差しを跳ねのけて
陽炎が立ち上がる 道を走り過ぎた

夕立が降り始めた
さっきまでの青い空が
恐く見えて淋しくなった
急いで家路を辿る

夏の少年は 隆々と立つ入道雲へ向かい
今日を疾走ってた 胸の高鳴りのまま

夏になれば背伸びして 恋の夜道を歩いたり
淡い想いを追いかける 足元おぼつかなかった

何気なく立ちどまった
川岸で蛍を見た
綺麗だった光りは儚い
虫の音響く夏の夜

あの日追いかけた 秘密の蜃気楼
照りつける日差し 線路の上両手を広げ
どこまでも行ける気がした

夏の少年は 裸足のままで追いかけて行く
今日を疾走ってた 胸の高鳴りのまま

夏の少年は追いかけていた 胸の高鳴りを
今という一生の中の一瞬 色褪せぬ時の中で

白い夏に溶けてく 淡い青が色を変える頃
やがて見渡せば 夏暮れて 遠く蝉の音 遥か
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