ひと雨くれば

人知れず 咲いた紅い
朝顔ひとつ
日照りつづきの 軒かげに
忍ぶ恋しさよ
ああ 好きなひとは 今何処に
帰らないのか 帰るのか
ああ 私だって 女です
あなたばかりを 待てません
日は高く 今日もまた
暑くなりそうだけど
想い出は 流したいの
ひと雨くれば ああ……

ひんやりと 風が行く
夜の緑先
なんにも知らずに 妹が
眠る蚊張のなか
ああ ひとつふたつ 消えていく
胸のつかえが かなしみが
ああ 私だって 女です
きっとしあわせ みつけます
降りしきる 蝉の声に

夏はまだつづくけど
想い出は 流したいの
ひと雨くれば ああ……
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