かもめの街

やっと酒場が終わって ほろ酔いで坂を下りる頃
白っ茶けたお天道が 浜辺を染め始めるのさ
そんな やりきれなさは
夜眠る人にゃ 分からないさ
波止場に出ると かもめがヴイに二、三羽
一服しながらぼんやり 潮風に吹かれてみるのが
あたしは好きなのさ…

かもめよ かもめよ 淋しかないか
帰る故郷があるじゃなし
おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
あぁ あぁ どんぶらこ

いろんな人がいたし いろんな人がいなくなった
でもこの街じゃ誰だって それを嘆いてやれるほど
お人好しじゃないのさ 幸せじゃぁないのさ
啼いてくれるのは かもめと霧笛ばかり
一服しながらあれこれ とりとめなく懐かしむのが
あたしは好きなのさ…

かもめよ かもめよ 風邪など引くな
絹の寝床があるじゃなし
おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
あぁ あぁ どんぶらこ

かもめよ かもめよ
あぁ あぁ…
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