ゆうべ

ゆうべ酒場で あいつに会った
別れてたしか 四年ぶりに
子供みたいな 澄んだ目をして
私の顔を 見つめていたわ
あの頃のように 売れない絵ばかり
描(か)いているのさと ほほえんだあいつ
忘れかけてた美しい日々
私はいつか涙ぐんでた

夢を追いかけ 生きてた頃の
私の心は きれいだった
絵の具の匂い しみつく部屋で
あしたを語り そして眠った
描(か)きかけの君の 横顔と今も
暮しているよと 笑ってたあいつ

幸せだとうなずいたけど
涙がひとつグラスに落ちた
それじゃ元気でと 肩に手を置いて
何度も振り向き 消えてったあいつ
闇に隠れて私は泣いた
失くしたものをかみしめながら
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