女神の悪戯

街路樹に
シグナルが赤く映し出される

立ち止まる
交差点
ふたり最後に……

少し戸惑う声で
“本当なの?”と聴いた
他愛ない噂だと
耳をふさいでたけど

誰かに心を
うばわれてゆく
貴方は視線を
落とすだけ

優し気な話し方は
“サヨナラ”は
云わないで

こらえてる
悲しみが
あふれ出すから……

十月の夕暮れは
宵闇早くせまる

消え残る愛だけを
そのままにして……

誘われたその理由は
予感していたけれど
貴方が好きなドレス
今夜えらんだ私

あなたの前では
綺麗でいたい
やさしい言葉の
その前に……

悪戯な筋書きで
恋は運ばれてゆく
運命をもて遊ぶ
愛の女神は……

シグナルが変わったら
別々の方向に
もつれても歩き出す
私をみてて……
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