Grand Bouquet

ひとり風の中にいると
そっと声が呼んでくるの

誰もいない
知っていても
いつもわたし振り返って

風の生まれてきたどこかを探す
時の流れ
けして戻らないとわかっていても
ほんの少し あの日に帰れる

忘れられた 城の中の
壁に画家が描いたブーケ

花はひとつひとつ陽光(ひかり)を求め
あふれだす
過ぎし時の美しさだけを束ね
遠い永遠 そこに咲き誇る

風の生まれてきたどこかを探す
いまは亡き優しい人たちが
待っている場処に
ほんの少し 居させてください

~オディロン・ルドン「グラン・ブーケ」に寄せて
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