君とみつけた海

日に焼けた横顔 光る汗
やがて背も越されてしまうはず
少年とよばれる時間も わずか

君はまだ おぼえているかしら
初めて会った日の昼下がり
南へと 走って みつけた海を

なだらかなカーブ えがき
海鳥が水面はじく
はだしのままで駆けだす君を
追いかけるように 星砂が舞う
ひろがる空を見上げて
あどけない声で笑う
そんな姿に 心ひかれていく

君はまだおぼえているかしら
沖めざすカヌーを見送って
真っ白な 貝がら あつめた海を

君のてのひらの上で
小さなカニが踊るよ
目を丸くして のぞきこんでる
無邪気な仕草いとおしくなる
ひろがる空を見上げて
あどけない声で笑う
そんな姿は まるでひまわり

不安を同じくらいに
せおっていたはずなんだ
昨日までなら顔も知らない
他人同志で あったとしても
めぐる季節を重ねていけると
信じられたよ
君の笑顔が背中をおしてくれた
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