恋の傷

黄昏せまる 都会の空に
慕い捨てても 恋冷めやらず
噂までもが 過去(むかし)を連れて
虚しく心に 忍び込む
消すに消せない 恋の傷

逃れて独り 列車の窓に
映してなぞる なみだの素顔
途切れ途切れの 景色にまみれ
初めて降り立つ 駅灯り
鳴くは蜩 胸に染む

知らない町の 哭く風の音(ね)に
はぐれて愛し 夢冷めやらず
そっと浮かべた 木の葉のように
この身を任せて 流したい
消えて欲しいの 恋の傷
×