絆船

北浜荒くれ 勇み肌
やん衆の塒(ねぐら)は 波の上
男 捨て身で 漁に出る
女 捨て身で 恋をする
夢と情けを ひとつにしぼり
翼よせ合う 番(つがい)の鴎
あんた押し出す 命船
わたしゃ浜辺で 手を合わす

一の瀬二の瀬を 越えたなら
岬にかくれて 消える船
口じゃ 悪態 つきながら
通う 心の 根はひとつ
茶だち 塩だち 三月(みつき)のがまん
馴れちゃいるけど 待つ身は辛(つら)い
夜なべ手作り 曲げわっぱ
熱い手ざわり 忘れるな

寒風山から 吹きおろす
傘雲かかえた 北の風
風は 簓(ささら)の 波になり
雪を 呼びこむ 日本海
海の稼ぎは 嬉しいけれど
無事なあんたが なにより土産
せめてわたしの この涙
船にしっかり 乗せて行け
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