お駒雪化粧

蝶よ花よと もてはやされた
そんな昔が 懐かしい
器量ばかりで 実らぬ花か
お駒うす紅 黄泉路(よみじ)の旅化粧

恋とのれんの 両天秤じゃ
しょせん渡れぬ 憂き世川
人目忍んだ 閨(ねや)の灯(ひ)も
浮いた浮いたの 夢も消え
今日は罪の瀬 おぼれ舟

才三(さいざ)ひとりと こころに決めて
解いた十九の 初島田
誰の筋書(すじ)やら からくり芝居
お駒なみだで 爪びく 三味の弦(いと)

(セリフ)
もう想い残すことなんて あるもんか
みれんも無い… 怨みも無い…
この世のことは 水に流して むこう岸
あの人が…あの人が…きっと私を 待っているからね

誰に見せましょ 女の意地を
わかれ絵すがた 黄八丈
これが この世の見おさめ橋に…
お駒いのちか ひとひら春の雪
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