美濃の眉月

桜 舞い散る春の夜(よ)の
弥生三日(やよいみっか)の月をみた
まるで二人の身の上みたい
ほんに心許(こころもと)無い 月明り
想い出します 京(みやこ)に遠い
ハァー ハァー 美濃の在所の眉月を

武士というには名ばかりの
身分 足軽 藤吉郎
そんなあなたを見初(みそ)めた私
けれど 悔いは無かった来し方に
他人(ひと)が称(たた)える望月(もちづき)よりも
ハァー ハァー なぜか恋(いと)しい眉月が

幼ごころを忘れずに
文を寄越した天下びと
「おね」とあったり「かかさま」などと
いつも 人の気持ちを汲み取りなさる
二世もお側に居りたいものと
ハァー ハァー 願い懸けます 眉月に
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