ひかり

離れていく姿をぼうっと窓越し眺め
信じ難い事件は耳を掠めて宙を舞う

隣の花壇はいつ見ても美しい
そういえば昔 私も好きだっけな

離れた 離れた 離れて気付いた
離れた 離れた 離れたから気付いた

コーヒーにミルクが落ちて拡がる模様
時間経てば混ざり合って部屋に馴染むコーヒー

離れていく姿をぼうっと窓越し眺め
めくる頁活字を透けて見える心

嫌いを辿れば劣等感に気付く
そういえば昔 愛していたっけな

離れて 見つめた 窓の外光るもの
離れて 気付いた かつて愛した光

庭に植えた秋桜 玄関を彩って
私の気分が少し晴れやかになるだけで
バームクーヘンのよう
幾層にも重ねて
それがやがて生活の光になってくれるのよ

朝と夜の空が入れ替わる様に
呆気なくて少し寂しいの
この先何十年続いてゆけば
あなたも嘘の様に思えるでしょう

溶けてゆく 馴染んでゆく
染まってゆく 平然と
離さないで 放っていてよ
私だけのひかり

窓の外の光をぎゅっと
引き戻す様なフリをした
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