涙雨

波と空が溶け合って
夜が来る
白くて細い雨が降る

ずっと太陽の眩さに
忘れていた
あの日の砂を噛んだ味

甘く香るアスファルト
街明かりが沁みる
切れた唇に

まだ寒い4月の
宵は青
思わず過去を省みる

間違った
辛かった
涙雨
ふいにした
苦い青春を捨てても、行こう
強がって
強がって
言葉の波に溺れる
僕にはもう
嘘は要らないよ

まだ何にも解らない
街の灯が
爪先照す雨模様

あの頃は若かった
冷えきった
青い果実と恋模様

間違って
すれ違って
春時雨
不意に来た
甘い考えは忘れて行こう
泣いたって
笑ったって
一度きり
僕は選んだ
ひとつだけ
辛いほうの未来を

間違った
辛かった
涙雨
ふいにした
苦い青春を捨てても、行こう
間違って
失って
それでももう、
進むほか道はないんだ
さよなら、永遠に
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