ひとつひとつ

川の瀬音もローカル線も
時が止まったままのふるさと
ただいまくらい言わせてよ
後ろめたさが不甲斐ないよね

四十九日も百か日にも
顔も出さんでどうしてた?って
黒いネクタイ緩ませて
酔った兄貴の言葉が刺さる

小さな幸せ 寄り添ったあの頃
どうしようもない
どうしようもないくらいに
家族だったな…

ひとつひとつ大切なものを数えてみたら
あれ、もうこれしか残ってないや
それでもきっとまた来年も夏が来るから
またここに帰ってきてもいいかな
いいかな…?

東京行きの寂れたホーム
あの日と同じ最終列車
「お前の道を行け」と兄貴の
不器用な手紙を握りしめてた

遠くに霞んだ夢をまだ見ながら
どうしようもない
どうしようもないくらいに
生きていくのです

ひとつひとつ大切なものを抱きしめていよう
ほら、こんなにやさしくてあったかくて
立ち止まるたびに見上げてた空の青さに
ただ涙がこぼれた日々をずっと
忘れずに

逢いたい人は何処にいますか
帰りたい場所はまだありますか
今になって失くしたものたちが
こんなにも恋しくなるなんて…
待っていてくれるただそれだけで
ひとりじゃないと思えるのです
誰かを見守り見守られることが
幸せの本当の姿なんだと
だからあなたにあなたに
もう一度会いたくて

ひとつひとつ大切なものを数えてみたら
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