ちっぽけな僕らの世界地図

教室の窓から眺めていた
雨にさらされたグランドのボール
黒板の世界地図じゃどこへも行けなかった

どうにもならないことを知って
どうしようもないこととそっぽ向いて
それでも諦め切れずにみんな大人になった

高層ビルに旅客機が突っ込んでいくところを
震える手を抑えながらただ見ていた
警報が鳴り響いて海が街を飲み込んだのは
もう10年も前のことなんだね
いまじゃこんな大都会だというのに
病床が足りないんだという
嘘だろ? 嘘だろ?
今何年だよ
神様…

あの空の向こうに消えた夏も
何も言わず降り続く雨も
本当はどこへ行ってしまったの
声が枯れるまでずっと歌って
それでも涙が止まらなくて
あの世界地図の広さが
今はわかるよ

焼け焦げた大地をたったひとり
小さな少年が歩いて行く
白黒の写真で昔見たようなそんな景色さ

しあわせって言葉が怖くらい
行き先のわからないそんな時代を
駆け抜けるだけの勇気が今は欲しくて

あの日眺めていたグランドに消えた夢は
断ち切られてしまったわけじゃないんだと
信じて 信じて 信じて
もう何十年も経つんだな
もしかしたらみんな愛されたいだけの
優しさと冷酷さの世界を
それでも それでも
歩いて行こう
一緒に

僕はぎゅっと君の手を握って
見果てぬ未来へ地図を広げる
ちっぽけな僕らの世界地図さ
指が切れるまで弾いたギターも
たぶん届きはしないだろう
それでも歌わないよりは
ずっとましだろう

地平線の見えないこの街の
どこかに太陽が沈んで行く
誰にでもおんなじ朝が来るといいのにな…

あの空の向こうに消えた夏も
何も言わず降り続く雨も
本当はどこへ行ってしまったの
声が枯れるまでずっと歌って
それでも涙が止まらなくて
あの世界地図の広さが
今はわかるよ
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