青色の街

夏が嫌いだった思春期
夜風が気持ちよくてまだマシだと思った
大人になったんだと、
育った街の知らない景色のなか
ハタチのきみとほろ酔いで乾杯
そういうところが好きだった
アルコール 3% のクリームソーダ
あたしやっぱお酒は苦手だ
大人になったきみのにおいは
もう甘い柔軟剤じゃなかった
笑った顔が可愛くて好きだった
運命を信じてみたかったのさ
きみといつか幸せになれる気がしている
溶けるような、生ぬるい温度
秘密の会話

あたしの夢ときみの生活と
将来のことと今の憂鬱と
段々と時間をほら経験を
失ってまた作って失って
きみとしあわせな未来を
過ごせる自信がないなって
きみが昔思ったようにさ、
あたしも少し今は思ったりしてさ

一度もギターを売ろうと思ったことはない
だけど音楽をやめようと思った夜がある
誰に話したいわけでもない
大切なものはここにはない
流星を一緒に見ても永遠にはなれなかった
大人になって分かった
運命ってやつは時に残酷だ
保育園の頃 将来の夢は?
「歌手になりたい!」一択だった
きらきらきらきら輝いていた
上京したてのあたしはどこ行った
歌詞が暗い 私的で分からない
うるさいなあ
お前らになんて分かってたまるか
誰かになりたい 誰にもなれない
あたしがあたしで生きないでどうする

夏の風とぬるい体温と
きみの声と少しの苛立ちと
朝凪のなか歩く人たちを
羨ましいと思ったりしてさ
明日の不安と退屈と
憂鬱ともっと深い憂鬱と
海が静かな夜に座って
きみの隣で生きていた
夢ときみの生活と
将来のこと ふたりの幸先を
段々と時間をほら経験を
失ってまた作って失って
きみとしあわせな未来を
過ごせる自信がないなって
きみが昔思ったようにさ、
あたしも本当は思いたくないよ
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