雨降るスノードーム

あのね、雨が嫌いだったんだ
呼吸(いき)をする度 グレーになる身体
こんな風に感じたのはいつからだっけ

あのね、同じ雨を見上げたまま
「優しい青だね」って君が零すから
僕の視界(め)にも
色彩(いろ)がついた気がしたんだ

強まるしずく音も 聞こえない程
君の声が何度も 折り重なって
いつの間に乾いた 僕の肌が
知らない感情で 満たされてゆく

ココロがぐるっと 逆さまになって
底の方、わだかまった結晶が
舞い上がったら新しい景色
君越しに見てた
スノードームみたいな夏の通り雨

君を、よく見かけたバス停で
少し雨宿りをしてるんだけど
今日の雨は少し寂しい青色だよ

君を、見なくなってずいぶん経つね
褪せた時刻表も見にくくなったけど
君の声は今もそこに聴こえるよ
ずっと

昔より狭くなった空から
また喧騒とグレーの雨が降ってきたら
名前すらも 知らない君の
横顔と声を思い出しては
雲の隙間
今日も一人で 探している

ココロがぐるっと 逆さまになって
底の方、わだかまった感情は
いわゆる 恋 とは違うけれど…
元気にしてるかな
君越しじゃなくたって
光が満ちてく

あの時 ぽつんと 君がふと零した
何気ない言の葉の結晶が
今も僕の中に舞い続けてる

ありがとう 青い夏の通り雨が
何度もキラキラ輝いて
呼吸(いき)をする度
色彩(いろ)を増すばかり

「スノードームみたいだな…」
雲が覆い尽くした 憂色の空を
たったヒトコトで 藍に変えた君
×