波間に消えた夏

奇跡みたいな波しぶきは とつぜん踊りだした
出逢う数分前のキミは 風を従えてた

行き詰まってじっと立つ 私の胸 射抜くように
その笑顔は その瞳は 鍵を開けた

どこまでも飛んでっちゃいそうな貿易風
水平線の彼方まで
一緒に連れて行って
すべて忘れさせて
なんでかな とんがった心の棘が
消えてふわふわになっちゃうの
止まらない鼓動 息を止めたその時
視線が重なった 夏の魔法で
時間(とき)が動いた

線香花火持ってしゃがむ ふたりきりのマリーナ
二度と会えないかもね なんて 少しおどけてみた

離れたってきっとまた 笑いたいな 今日のように
アルタイルとベガの光 忘れないよ

全力でがんばってるキミの夢は
広い海も迷わないさ
瞬間を捕まえたら
決して離さないで
大丈夫 なんだって怖くなんかない
星はいつも導いている
続かない言葉 涙にじむ星空
キミは口ごもった はにかみながら

どこまでも飛んでっちゃえるキミだから
向かい風も気にしないね
神様の矛盾から
すべて解き放って
大丈夫 なんだって楽しんじゃうよ
荷物なんて無かったでしょ
電車の窓越し サヨナラする私に
キミはなにか言った 「ずっと好きだよ」
波間に消えた
夏の幻
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