ウタカタ

「その右手ひとつ、私に下さいな」
想いを伝えて、家路を辿って、
愛とは言えないが、漂う雲はいい
梔子の花へ、ごめんあそばせ

「……」 少し触れるだけ、
「……」 ねえ?今日ぐらい、

あなたは何時だって、何も喋らない
小指をなぞれば、愛するしかないのに、
そうね、「泣いて済むなんて思わないで」なんて
そんな口があれば、夕暮れ台無し

「……」 少し歌うだけ、「……」 乱れるくらい、
「……」 あなたはクチナシ、「……」 ねえ?今日ぐらい、

なにも喋らず、お怒りですか?
お仕置きですか?でしたら今夜がいい

「……」 少し痛いだけ、「……」 感じるくらい、
「……」 おもちゃのクチナシ、
「……」 恋のフリくらい、
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