いたいいたいのとんでけ

いたいいたいのとんでけ
あの日母が一晩中背中さすってくれてた
いたいいたいのとんでけ
気づかぬうちに、優しさの中で眠ってた
どんな時でも守ってくれた
自分のことはいつもあとまわしで
幼い頃渡した、グチャグチャの似顔絵を
「ママの宝物だ」となでてくれた。

いたいいたいのとんでけ
夏の夜に、丸く小さな母をさすってる
いたいいたいのとんでけ
思い出ばかりが浮かんでくるたび、首を振る
「もう長くない…」あなたが初めて、肩を震わせながら弱く言った
パジャマのすそから出る細すぎる足に、
「まだまだこれからだよ」と上を向いた。

星の数程いる人の中、あなたの子供としてここに産まれた
食いしばり生きてきた母の背中は何より一番の命の跡

いたいいたいのとんでけ
祈るように、丸く小さな母をさすってる。
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