x分の1

四千三百二十分の1のコンビニに行って
一万四千六百分の1の手を握った
あと何回 君と出来るのか数えてみたんだ
あと何回 僕らが死ぬまでに

四百八十三分の1のハンバーグを食べて
九百六十四分の1の映画を見た
あと何回 君と出来るのか数えてみてるんだ
これからの僕らの生活で

だいたい元気に活動できるのは四十年だとして
週に二回くらい突然コンビニ行きたくなったりするから
四千三百二十回
くらい行くと思うんだ
それは案外多い思うんだけれど
月に1回食べるかわからない
ハンバーグは残り四百回
しか食べれないなんて聞いてない
案外人生短いな

僕ら
四万三千八百分の1のキスをして
四万三千八百分の1で抱き合って
今この瞬間のくだらない会話とか
君がこっそり嬉しそうに笑ったこととか
全部数えていたい

六千二百五十分の1のコーヒーを飲んで
二千八十五分の1の目玉焼きを食べた
あと何回 君と出来るのか数えてみてるんだ
あと何回 僕らが死ぬまでになんのために生まれてきたとか
生きてる価値だとか
そんなん端からないことぐらいわかってるんだけど
だけど
夜中君と歩いて コンビニに行って
グミとかプリンを買って帰る
その名前もつけられないような
雑な出来事ひとつひとつが
人生の意味なんてたいそうな
モノに思えてくるんだ

僕ら
四万三千八百分の1のキスをして
四万三千八百分の1で抱き合って
君が僕にくれた何気ない一言が
何故か嬉しくて涙が出たことも
全部覚えていたい
数えていたい

いつか
四万三千八百回目が訪れて
四万三千八百回目のキスをする
そんな日のことを想像しながら
街頭の下 君の手を強く握る

四万三千八百分の1のキスをして
四万三千八百分の1で抱き合って
今この瞬間のくだらない会話とか
君がこっそり嬉しそうに笑ったこととか
全部数えていたい
忘れたくない
×