春なんて

「またね」っていう君の言葉を
まだ忘れられずにいる
優しい嘘なはずないでしょう
迷惑でとても厄介でした
君は今も私だけを寒空に置いて
小さな春に連れて行かれてしまったまま

色付いた木々に昨年は
さして興味も無かった
今年は君と見たいなんて
欲張りなのは春のせいにさせて
君はいつもそのままでいいと教えてくれた
揺るがない私にとっての四季だ

嫌わないでよ
好きになってよ
臆病という病いに侵された
私空回りしてばっかで
桜がこんな
綺麗なことも
儚いことも
君が全部気付かせてくれたのに
そんな景色を目の前に
泣いてしまうなんて

風も暖かくなった
空の青と対照の淡い赤
視界を横切っていく花びらに
感情の全てを

奪われたいと
ささやかな願いすら届かずに
悠然とそこに春はあって

散りゆくものに
はじまる息吹
焦燥という色に染まった時間
私ただ息をしてるだけで
桜がこんな
美しいのに
冷たいなんて
君がいなくなってから気付いた
そんなこと知っていたって
何にもならないのに

雪と共に溶けていく
この想いは徒花のように
咲くはいつの日か
最後の一滴まで零して

忘れさせてよ
忘れないでよ
情動という哀れに逆らった
私もう動けなくなったの
桜がこんな
綺麗なことも
儚いことも
君が全部気付かせてくれたんだ
そんな景色は今だって
変わらなくて

泣いてしまうよ
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