北の浮雲

春の風吹く サロマの湖(うみ)に
心ゆするよ さざ波が
都を遠く 離れ来て
独りしみじみ 想う恋
仰げば淋しい 北見の空に
一つ浮かんだ ちぎれ雲

赤く染まった オホーツク
燃える未練の せつなさか
あの娘と別れ 旅に出て
めぐり逢う日の 夢を見る
明日(あす)は発とうか 紋別を
尽きぬ想いを 道づれに

一輪(いちわ)咲いてる 蝦夷カンゾウ
花の香りの 愛しさよ
曠野(こうや)を独り さ迷えば
ついて来るのは 涙だけ
いつか二人で 見上げた空に
あの日を語る あかね雲
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