知床挽歌

ことしの冬は 蝦夷(えぞ)ふくろうが
おまえをさがして こずえで鳴くよ
汚れてしまった 哀しみだけを
暖炉にもやして 眠りにつこう
春は まだ遠い 知床挽歌

三年まえは 揺り椅子ゆらし
おまえはセーター 編んでたそばで
そろそろ流氷 岸辺によせる
おもいでばなしが 手ぶらでくるよ
夢を もう一度 知床挽歌

やかんのお湯が たぎっているよ
おまえがいたなら この髭づらを
剃りなと笑って 剃刀わたす
今夜は凍(しば)れる 北斗の星よ
冬の 月が照る 知床挽歌
×