能取岬

風の口笛が 鳴いて吹きすさぶ
ひゅるひゅるひゅると オホーツク ただ一人
手紙を千切る 指さえ凍る 能取(のとろ)の岬…
なぜに実らぬ 咲かせし恋は
…冬の花

三日三晩泣き 十月(とつき)十日過ぎ
来ぬ人をなお 夢に見る 哀れ宿
想い出遠き しあわせ遠き 能取の岬…
緑輝く あの日は何処(どこ)へ
…まぼろしか

なしの石(つぶて)より 割れる流氷が
キリキリキリと わが胸を かき乱す
水平線の 明日はいずこ 能取の岬…
赤き夕陽よ 教えておくれ
…春はいつ
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