名探偵! 有栖川誉

「これは事件だ! ミステリーだ!」

ミミミミミステリー 謎が謎を呼ぶ
サササササスペンス 消えた時計
どこへ逃げても隠れても
ワタシのこの目はごまかせない

「必ず真犯人を見つけてみせる! おばあ様の名のもとに!」
「なんなんだこれは…」
「探偵ごっこが始まっちゃったね」
「まず状況を整理しよう。ワタシが最後に懐中時計を確認したのは稽古が
始まる前、中庭にいた時。つまり、盗まれたのは中庭から稽古場に移動して
稽古が始まるまでの間。以上の事実から導き出される容疑者はこの四人だ!」

「キミ達はさっき中庭でワタシにぶつかった。あの時に時計をかすめ取ったに
違いない」
「いや、待ってくださいよ!」
「そんなことしないって~」
「ひどいヨ! 前菜ダヨ!」
「冤罪な」
「四人って、あと一人は誰なんですか?」
「キミだよ!」
「なんで私なんですか? ずっと稽古場にいたんですよ?」
「キミには動機がある!」
「動機…?」
「支配人、キミはお金に困っているね?」
「何故それを…」
「誰でもわかるだろ」
「つまりキミが犯人だ!」
「なんて雑な推理だ…」
「私は無実ですよー!」
「俺達は? 動機なんてないですって!」
「綴くんのような地味な人間が犯人というのはミステリーの鉄則だ!」
「悪口じゃないですか!」
「一成くん、キミは手先が器用だ。怪盗の素質がある!」
「やべ~、褒められちった」
「疑われてるんすよ!」
「そしてシトロンくん、君はそもそもの存在が……怪しすぎる!」
「オー! 前菜ダヨーーーー!」

嘘をついてもすぐにわかる
このワタシ、名探偵・有栖川誉は騙せない
さあ、白状したまえ
洗いざらい話して楽になりたまえ

「かんべんしてよ~。盗ってないって~!」
「有栖川さんが時計持ってたことも知らなかったんですよ?」
「そうダヨ! 知ってたらとっくに盗んでるヨ!」
「盗むな!」
「誉さん、みんな盗んでないって言ってますよ?」
「そもそもその時計壊れてたんですよね。そんなもの欲しがる人いませんよ」
「ふむ…確かにそうだね」

ミミミミミステリー 迷宮入りの
サササササスペンス 消えた時計
切れ味鋭いワタシの推理も
今日はここまで

「どうやら犯人は…見つからないようです。有栖川誉でした」
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