杏のジャム

2人で暮らすのが夢だったの
手を繋いでいこうよ
どこにでもあるような景色も
あまりにも輝いて
目がくらむの

君が欲しいとねだるから
好奇心で買った杏のジャムを
「変わった味がするね」なんて
ただ 笑っていた

寄り道はしないで帰ってきてね
タバコはやめて そんなことばかり
愛か 支配なのか 曖昧すぎたね

気まぐれな君なんだから
気まぐれに嫌いになって
そう願うの

丈の足りないカーテンの裾から
きっと逃げていってしまったの
誰も知らないこの部屋の2人
誰も知らないまま

君がいないと知らないで
置き去りになった杏のジャムが
冷蔵庫の隅の方で
ただ 待っている
まだ 待っている
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