一輪挿し

水を替えてる 一輪挿しの
そばにあなたが いるようで
逢いたい気持ちの 悪戯かしら
もしやと手を止め 耳を澄ませば
声なき写真が 笑うだけ

窓は額縁 景色も凍る
遠くまたたく ひとつ星
そこからわたしが 見えるでしょうか
風邪引かないでと ささやきかけりゃ
遺品(かたみ)の時計が カチカチと

花を散らした 一輪挿しに
揺れる泣き顔 水鏡
「いつまでメソメソするんじゃない」と
きっとあなたに 叱られるわね
年上ですもの これからは
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