情け雨

後は追わない 約束の
小指からめる ひと夜宿
一途な目をした この女(ひと)に
淡(あわ)い倖せ 何故やれぬ
ばかな男を 責めるよに
肩に冷たい 情け雨

闇のむこうで 紫陽花が
雨に打たれて うなだれる
花より儚(はかな)い この女を
散らせたくない 夜半(よわ)の風
遠く離れて 行く俺の
心ひとつを 置いてゆく

雨よ思いが あるのなら
明日の列車を 遅らせて…
涙でつぶやく この女の
白いうなじの やるせなさ
窓に糸引く しずくさえ
泣いているよな 情け雨
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