うさぎときつね II

「じゃあ 私は先に出てるから、
ちゃんと彼に その気持ちを伝えるんだよ」
二人残して 喫茶店を出た
本当は私の方が先に 彼を好きだった

でも誰にも言ってないし すぐ冷めるかもしれないし
なんて 割り切れるほど器用じゃない

同じ人を好きになった あの子を応援しても
残るのは友情より切なさだと わかっている
でもね 私これでいいの

あの子も多分 気づいてないんだ
彼の耳たぶに 小さなホクロがあること

少しだけ染めた髪を 似合うって褒めてくれた
だけど 優しいのは 私にだけじゃない

もともと 彼と釣り合うような私じゃないんだし

友達には幸せになってほしいと願っている
でもね やっぱり 胸が痛むの

もしも 今この気持ちを 打ち明けることできたら
どれだけ心 軽くなるのだろう なんてね
あぁ できるわけないのに

同じ人を好きになった あの子を応援しても
残るのは友情より切なさだと わかっている
でもね 私これでいいの
だけど 本当は… だけど 本当は…
×