雨上がりの通り

淡い昼下がり 雨上がりの通りは
白い水蒸気と 光に包まれる

眩しそうに薄目開けて
優しく微笑む

日傘開きながら 赤いヒールをカタカタ
鳴らし小走りに「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」

見上げた黒い瞳
眼の前を通る

吸い込まれていく
嘘のようさ
君は目を閉じて
時を止める

広いカンバスに 水色の水彩絵の具
染めて碧い島は 恥ずかしそうに浮かぶ

イリュージョンじみた風が
二人を横切る

吸い込まれていく
嘘のようさ
君は目を閉じて
時を止める

斜め上の空には 間の抜けた笑う月
そっと流し目で見て「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」
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