メヌエット

一本のマッチ灯すと
炎へとあなたが揺れた
暗がりに鍵穴探し
淋しさの扉あけても
あなたのいない部屋
『命みじかし 恋せよ…』なんて
ゆらり ゆら ゆら 口をつくのは
私の好きな言葉です

二本目のマッチをすって
空っぽの指あたためる
海岸でくわえ煙草に
火が点かず手のひら寄せた
あなたがよみがえる
『命みじかし 恋せよ…』なんて
ふらり ふら ふら 胸にさすらう
昔のひとの言葉です

三つ目は涙に揺れて
こすっても点かないマッチ
闇色のベッドの上を
手探りで捜してみても
あなたの影がない
『命みじかし 恋せよ…』なんて
くらり くら くら めまいの中の
もう 手遅れの言葉です
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