雨降りのアポリア

俄か雨をカーテンで隠して
柔らかな緑とコーヒーの匂い
砂糖を入れ過ぎたぬるい空間
優しい嘘を鳥が啄ばんでいた。

最後に言った言葉は
『もう、居なくなるね。』
『もう、居ないのと同じだよ。』
氷のような皮肉と繰り返す情景。
同じところを行ったり来たり。

満たしてしまえばさ
水を注ぎ過ぎたバケツみたいに
少しずつ入れ替わって
透明な記憶に変わるの。
今はまだ濁って、あたたかい。

巡り巡って、過去色になったあなたを
バラバラにするのは時間の流れ。
僕も飲み込まれてしまうかな?
今日の僕が死んで、新しい朝が来ても、

思い出してしまうんだろう、
冬に雪が降るみたいに。
あなたが水面に映る、
ただの嘘なら、どれだけ良かったか。
繋ぎ合わせたあなたはまだ
居なくならないじゃないか。

この日々を壊して、壊して、壊して、
明日を繋いで、繋いで、笑ってよ。
傘を無くして立ち尽くす。
出会えた行詰まりが、あなただっただけ、
それだけ。それだけのこと。
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