ソナチネ

地図のない散歩にはささやかな理由がある
すれ違うペアのシルバー 繋ぐしわの手

太陽が一番あたたかい色になる頃
届かないペダルのソナチネが
いつかのように聞こえてきたんだ

ずっとずっと離さないでいてね
きっときっと私たちは大丈夫
肩とポッケの間にくぐらせたぬくもり

見つけ合って寄り添った
昔一つだった石のかけら
干からびた川のことを
あなたの海は知らないでしょう

影ぼうしが一際深く沈んで伸びるから
なかなか進まないソナチネが
あの日の中に閉じ込めるんだ

ずっとずっと離さないでいてね
きっときっと私たちは大丈夫
今日と明日の隙間に滑り落とした日々

そっとそっと拾い集めるように
たどって歩いて忘れたくないから

ずっとずっと離さないでいてね
きっときっと私たちは大丈夫
肩とポッケの間にくぐらせたぬくもり

いつの日か閉じられるかな
私のソナチネ
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