唇は赤き砂漠

唇 窄(すぼ)めて
あなたの 名を呼ぶ
呼べど 応えぬ 淋しさよ
愛しながら 別れて 幾年よ
千千(ちぢ)に乱れる 我が心
あゝ唇は赤き砂漠

別れの 言葉は
怨みと 思はぬ
恋の苦しみ もういちど
霧に煙る 舗道の 接吻(くちづけ)を
思いだすのさ 我が肌に
あゝ唇は赤き砂漠

弊舞橋(ぬきまいばし)から
面影 ガス燈
なんで未練に 偲ぶのか
ひとりグラス かさねて 酔いしれる
みんな幻 我が恋よ
あゝ唇は赤き砂漠
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